「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。
第32回 社員の定着率は、面接時から決まる?
最近、社員の採用に苦戦している企業が多いようです。やっと採用できたと思ったらすぐ辞めてしまったり。その点、マメノキカンパニーは誰も辞めませんよね。
はい、そうですね。本当に優秀な子たちが長く働いてくれています。
頻繁に社員が入れ替わる会社と、中辻さんの会社は何が違うのか。今日はそのあたりをお聞きしていこうかなと。
そうですねぇ。確かに人がコロコロ変わって、ずっと社員募集の求人が出ている会社って、あまりいい会社じゃなさそうですよね。
社員の定着率が高い方がいい会社。そういうことですか。
基本的にはそう感じています。長く携わることで、会社に対しての「愛」も芽生えると思いますし。
採用したら、会社でじっくり育てていくということですね。
ええ。たとえば「キレイなデザイン」を作れるデザイナーはたくさんいます。でもウチで採用したからには「反響が取れるチラシ」を作ってもらう必要がある。そのためにも徹底的にノウハウを教え込むわけです。
なるほど。採用した後、専門のノウハウを吸収してもらうのが大事だと。
そうですそうです。そういう意味でも定着率は高いほうがいいのかなと。せっかく教えてもすぐ辞められてしまったら、元も子もないですから(笑)。
そういう意味では、「会社が責任をもって育てる」という気持ちを持つことが重要ですよね。とはいえ、雇われる側に「会社がそうするのは当然」と思われてしまうのもあまり良くない気がします。
そうですね。教えてくれる相手に対してリスペクトを持つのは大事ですよね。と同時に、教える側も愛を持って育てると。
なるほど。とは言え、採用ミスも度々起こります。なんでこの人を採用しちゃったのかなって(笑)。中辻さんだったら、そういう場合はどうされますか。
うーん、まずは改善してもらえるように努力するかな。会社にとってマイナスにならないように変わっていただく。…でも、私が採用してきた人には、そんな人はいませんでしたけど(笑)。
私はそんなミスはしないぞ、と(笑)。
年間で何百人もの人と面接しているので。たぶん他の経営者さんより、そのあたりの目利きはできると思っています。
なるほど。でも面接を受けるのが上手な人もいますよね。面接の場ではすごく真面目で、能力も高そうで、しっかり話もできていた。なのに実際に採用してみたら全然違うと。これ、「経営者あるある」だと思うんですけど(笑)。
安田さんがペイント王で私を面接してくださったときも、そういう風に思っていました?(笑)
いやいや、中辻さんは100%活躍すると思っていましたよ!
ふふふ、ありがとうございます(笑)。
もう1つ、頭数だけで採用しちゃうパターンも多いですよね。ダメだったら辞めさせればいいから、とりあえずみんな採用しておこう、というような。
そうですねぇ。でもやっぱり私はそういうのはしたくないですね。私が採用したからには、ウチでできるだけ輝いてもらいたいと思っているんで。
ちなみに中辻さんが面接をする時、こういう人は絶対に採用しないというラインはあるんでしょうか。
素直じゃない人、人の話を聞かない人、ですね。
ほぉ。でも正直なところ、面接の時ってみんな素直そうに人の話を聞いていませんか?(笑)。
表面上はそうですね(笑)。でも言葉の端々に出てくるんです。「いや〜」とか「だけど〜」とか「そうじゃなくて〜」とか。言い訳がましいというか、自分の非を認めないというか。
なるほど。では、人の話を聞かない人というのはどういう人ですか? 「はい、わかりました!」と返事だけは完璧だけど、行動が全然伴っていないような人ですか。
そうですそうです(笑)。
そういう人、私は散々見てきましたよ(笑)。
笑。そういう人には厳しめに教える必要がありますよね。でも、短くズバッと伝えるだけに留める。
ほう。それはどういう意図があるんでしょうか。
ダラダラ言い続けてしまうと、「自分がした行動が会社にとってマイナスだったんだ」という反省の気持ちよりも、「グダグダ言っててウザいなぁ」という気持ちの方が強くなってしまうんです。
こちら側の想いが何も伝わらないんですね。
ありがとうございます。まぁ極端な話、「ありがとう」「ごめんなさい」がきちんと言える人であれば大丈夫ですよ(笑)。意外とそこができていない人、多いんですけどね。
確かに多いかもしれません(笑)。私も気をつけます(笑)。
対談している二人
中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役
1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。