赤字社員の絶滅

大企業が社員の報酬を上げ始めた。
初任給30万円は当たり前。
年収3000万円を超えるスペシャリストも
この先どんどん増えていくだろう。

課長も、部門長も、経営陣も、
出世のご褒美ではなくなる。
高いスキルを持った人材のみが
専門性を活かして職務をこなすという、
当たり前の組織に生まれ変わっていく。

中小企業ではもはや新卒は採用されなくなる。
初任給30万円は払えないし、
ゼロから育てるやり方ではもう
採算が合わないからである。

基本を教える必要がなく、言われたことを
着実にこなしてくれる20代の業界未経験者。
このゾーンが中小企業の正社員となっていく。

すごい能力は持っていないが、
着実に作業をこなしてくれる人材。
ここが企業の収益源となる。では開発や
マーケティングのような仕事は誰がやるのか。

大企業はここを自前で抱えるだろうが、
中小企業には年収3000万超の人材を抱える
資金力がない。このレベルの人材は
シェアすることが当たり前になるだろう。

600万ずつ5社で負担すれば
3000万の人材を確保することが可能だ。
雇用していないので成果が出なければ
契約を切ることもできる。故にリスクがない。

大企業は優秀な人材を抱えるために
どんどん報酬を増やし、
全体の人件費を抑えるために
どんどん人を減らしていく。

中小企業は自前で育てることをやめ、
着実に利益につながる人材のみを雇用する。
能力の高いスペシャリストは外注する。

結果として利益を産まない“赤字社員”が
居場所を失っていくだろう。
ひとつの会社の中で「出世していく」
という概念は限りなくゼロになる。

ビジネス人材は3種類のみとなる。
1:言われたことを確実にこなす正社員。
年収は30代で頭打ちになるが、定年まで
しっかり雇用され社会保障制度で守られる。

2:特別なスキルを持った正社員。
大企業にのみ存在し、億を超える年収を稼ぐ人もいる。
出世ではなく転職によってどんどん年収を上げていく。

3:特別なスキルを持ったフリーランス。
複数の会社の業務を請け負い、数千万円の年収を稼ぐ。
1、2、3、どの人材になるのかは自分次第だが、
スキル以上の報酬をもらい続ける会社員はいなくなる。

育てる、ムダな人材を抱える、
スキル以上のことを求める、ということを
企業がやらなくなり、日本人の生産性は
飛躍的にアップする。

ご褒美的な肩書きや過去の実績で
高い報酬を受け取る“赤字社員”は
絶滅するのである。

 

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