紹介設計図

リピートと紹介を増やすこと。
これは儲かるビジネスの鉄則と言ってもいい。
営業経費や広告費がかからない分、
利益率が格段に高くなるからだ。

特にここ数年、広告の費用対効果は
どんどん落ちている。
営業経費にしても、採用コスト、育成コスト、
退社リスクなどを考えると、
その負担はどんどん重くなって行く。

やはり取り組むべきは現顧客のリピート率アップ。
そして紹介による新規顧客の獲得である。
にも関わらず、ここに力を入れている企業は数少ない。
特に紹介に関しては、戦略と言えるものを
持たない会社がほとんどである。

最も多いのは「紹介をもらってこい」という
営業マンへの指示である。
残念ながらこれは戦略とは言えないし、
そもそも営業のコストダウンにはなっていない。

では、どうやったら紹介は増えていくのか。
重要なのはそこにきちんとした戦略があること。
私はそれを紹介設計図と呼んでいる。
そもそも顧客は広告や営業に飽き飽きしている。

テレビや動画の広告は鬱陶しいし、
営業されることも好きではない。
これだけ採用難であるにも関わらず、
経営者は採用会社の営業マンには会いたがらない。
だが知り合いの紹介となれば話は別である。

職探しも、店探しも、業者探しも、
リファラルな時代なのだ。
一番信用できるのは知り合いが紹介する人や店。
その次に信用できるのは、第三者の評価が高い人や店。

その信用のベクトルに、
いかに自社の情報を載せてもらうのか。
それを考えることが紹介戦略であり、
その詳細をまとめたものが紹介設計図である。

紹介の基本は「ことば」である。
誰に、どういうシーンで、
どのようなことばを使ってもらうのか。
たとえば誰かに紹介する時。
SNSに書き込む時。
どのようなことばを使うのか。

それを聞いた人が「ぜひその人に会いたい」
「ぜひその店に行ってみたい」と思うことば。
当然のことながら、紹介者はそのことばを
自分で作ることは出来ない。
故に放置しておくと「なんかいいよ」という
曖昧なことばが使われてしまう。

「誰にとって」「どのようにいいのか」を
きちんと言語化して紹介者に持たせる。
これが紹介設計図の基本である。
ただし紹介者は営業マンではないため、
こちらの指示通りには動いてくれない。

そこには「自発的に誰かに伝えたくなる話」として、
ことばが練り込まれていなくてはならない。
意図することばを意図せず使ってもらう。
それが紹介設計図の極意。

 


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