第82回 チラシやLPは、「感情」が動くから読み進めてもらえる広告

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第82回 チラシやLPは、「感情」が動くから読み進めてもらえる広告

安田

突然ですが、チラシやLPに載せる情報って「理性」に訴えかける情報と「感情」に訴えかける情報があると思っていまして。前者は「お得だな」とか「近くていいな」とか損得で判断するもので、後者は「これはぜひ食べてみたいな」というような気持ちで判断するもの、とでも言いますか…。


中辻

なるほどなるほど。確かにそうかもしれませんね。

安田

私自身も広告の仕事に携わる中で、この「理性情報」と「感情情報」のバランスが非常に大事なんじゃないかと考えていまして。中辻さんは、チラシやLPを作成する時にどちらに重きを置いていますか?


中辻

うーん…難しい質問ですね。どちらの情報も重要なんですが、取っ掛かりの部分では「感情情報」に重きを置いているかもしれません。まずは「これ、なんだ?」と興味を持ってもらわないと、その次に続く「理性」に訴えかける内容を読んでもらうことができないので。

安田

ふむふむ。「感情を揺さぶる=興味を持ってもらう」ためにはどんな工夫をすればいいんでしょう?


中辻

チラシでもLPでも、一番目を引く場所にキャッチーな画像を載せることが大事ですね。例えば飲食店のチラシだったら、美味しそうなメニュー写真をドーンっと載せることで「美味しそう! どこのお店やろ?」となるので。

安田

つまり、パッと見た時に良い印象を持ってもらうことが重要なわけですね。そう考えると使用する画像がかなり重要になりそうです。


中辻

仰るとおりです。宣伝したいモノの魅力を最大限に発揮するためにも、実際の商品写真やスタッフさんの笑顔の社員などを載せるのがいいと思います。

安田

ということは、フリー素材やネットから拾ってきたようなイラストを使うことはやめておいた方がいいと?


中辻

あんまりオススメしないですね〜。だってフリー素材って変にキレイすぎてリアル感がないと思いません?(笑) 人物写真も、めちゃくちゃ男前だったり美人だったりして(笑)。

安田

確かに見る人が見たら、すぐに「フリー素材の写真だな」ってわかっちゃいますよね(笑)。


中辻

そうなんですよ。たとえ素敵なデザインのチラシやLPが作れても、そういった「リアル感のない写真」を使ってしまうと、読者の感情に訴えることは難しくなると思います。

安田

なるほどなぁ。ちなみに使用する写真って自社のスタッフ…つまり素人が撮った写真でも大丈夫なんでしょうか?


中辻

信頼関係のある同僚同士だからこそ撮れる表情、というのもあるので、いいと思いますよ。とはいえ、やっぱりプロのカメラマンに撮ってもらう方が圧倒的に素敵な写真になりますけど(笑)。

安田

間違いない(笑)。でき上がった写真を見ると、素人撮影の写真との差は一目瞭然ですよね。


中辻

そうですね。ウチもベニエ屋さんの宣材写真を撮る時に、食品を専門に撮っているプロのカメラマンさんにお願いしたんです。そしたら私が家でスマホで撮った写真とは全く違っていました(笑)。

安田

笑。確かにプロが撮った食品写真って、本当に美味しそうで食べたくなりますよね。ところで写真の使い方以外にも、感情に訴えるチラシ作りのコツはあるんでしょうか?


中辻

これはチラシやLPのデザインにも関係してくるんですが、情報を届けたいターゲット層をしっかり見極めて、それに合わせたデザインクオリティで作成することですね。

安田

…と言いますと?


中辻

例えば、料金設定が高めのエステサロンだったら、来てもらいたいお客様は「美意識の高い人」とか「高級志向の人」になると思うんです。そういうターゲット層の方々には「手作り感満載のチラシ」って、安っぽく見えてしまって刺さらない。

安田

なるほど、確かにそうだ。


中辻

それなのに、エステなどのオーナーさんって、「お客様に自分の思いを直接伝えたい」って自分でチラシを作っちゃうことが多いんです。その気持ち自体は素晴らしいと思うんですが、前提としてオーナーさんはデザイナーではないわけで。

安田

あぁ…「Wordで一生懸命作りました」というような素朴なチラシができ上がってくるわけですね(笑)。そして肝心のターゲット層の人には、「こんな安っぽい広告を出しているサロンに行っても、美しくしてもらえるわけがない」と判断されてしまうと。


中辻

そういうことです。パッと見のチラシの印象で「私が求めているものと違う…」と判断されてしまうと、もうそれ以降はなかなか感情に訴えることはできません。だからこそ、自分のビジネスのターゲット層は誰で、どういうデザインが好まれるかは知っておく必要があるわけです。

安田

なるほど、よくわかりました。次回は「理性」に訴えかけるための工夫についてお聞きしたいと思います。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

Twitter

1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

感想・著者への質問はこちらから