対外的に「ブラックな企業」って言い始めたのは2014年ですね。設立4年目くらい。

初めての新卒採用をするタイミングで。当時は企業ブランディングより採用ブランディングの会社だったので、わかるわけですよ。「ウチみたいな社員3人の小さな会社なんて、誰も注目してくれんだろう」と。

ええ。どうやったら興味を持ってもらえるかな、と皆で考えて出したキャッチコピーが「ようこそ、ブラックな企業へ」だったんです。

そういうことです。とはいえ、創業時から会社のコーポレートカラーは黒だったんです。オフィスも真っ黒でしたし、会社のパンフレットとかのツールも全部黒で統一していて。

そうですね。創業した時に「コーポレートカラーどうしようかな」と考えて。赤だったら情熱的、青だったらクールなイメージ、みたいなのあるじゃないですか。

でもなんかどれもしっくりこない。というのも、最初のモチベーションが「変な会社を作りたい」だったので、個性的な仲間をたくさん集めたかったんです。

まさに仰るとおりで。いろんなカラーの人が集まって、それが絵の具みたいにぐちゃぐちゃに混ざったら、最終的に黒くなるよなと。それくらい個性が入り混じった会社にしたいと思って、黒を選んだんです。

もちろんそうです。皆が敬遠する「ブラック企業」を逆手に取って、「うちはブラックな企業ですよ」とPRしたわけです。これならきっと注目が集まるだろうと。

すごかったですよ。僕ら会社を始めて14年経ちますが、その年が一番エントリー数多かったですから。

7000人ちょっとですかね。

「ブラックな企業」で採用サイトも作ってたんですが、GoogleとかYahooで「ブラック企業」って検索すると、うちの採用サイトが1番上に表示されたりして（笑）。

いえ、狙ってました（笑）。「ブラック企業」で検索する子たちも引っ張ってこようと。

いえ、ちゃんとブラック企業っぽくしてましたね（笑）。「終電ギリギリまでの仕事」とか「辞められない会社」とか書いて。でもそれぞれの項目に「真相を見る」ってボタンがあるんですよ。

真相が見れるわけです。たとえば「終電ギリギリ」っていうのも、僕らそもそも勤務時間決めていなかったので、早く来て早く帰る子もいれば、遅く来て終電までやってく子もいる、という。

当時まだ3人しかいなくて、まだ辞めた人が1人もいなかっただけで（笑）。そういうのを大げさに書いていただけという。

初年度は1人だけですね。

はい、すごかったですね。すごく優秀な女の子で、5～6年は一緒に頑張ってくれました。

全然。4～5坪くらいの、数人入ったらいっぱいみたいな狭いオフィスで（笑）。

その採用手法がけっこう話題になったんですよね。「おもしろい採用をやっている会社10選」みたいにWebメディアに特集されたり、新聞記事にもなって。そういうこともあって、「ブラックな企業って、自分たちを伝えるのにすごくいいかもしれない」と。

ああ、アンチコメントとかはありましたね。「ブラック企業の社長が偉そうに発信しやがって」みたいなこともよく言われました。

そうそう。とはいえ、そういうケースはそう多くなく、どちらかといえば好意的な意見の方が多くて。

それは全然なかったですね。むしろ「いいね！」って感じでした。当時は本当に小さな会社だったので、失うものもなかったですし（笑）。

多いですね（笑）。

それを受け入れてくれる会社と取引をするって感じですね。

それでいうと、提案にはちゃんと「芯」があるので、大丈夫です。芯になる想いがまずあって、それを打ち出しているだけなので。そういう意味での不安や心配は全然ないですね。何言われても堂々と説明できる自信があるので。