「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。
第61回 AI時代の未来をどう考えてます?

あ、そうなんですか。私も大したことはないんですが、ChatGPTは日常的に使っていて。今まではネットの情報をとにかくたくさん集めてくる、って感じでしたけど、最近はすごく精度が上がっている。市場調査なんかもパッとできてしまうし、ブランディング業界でもどんどん使われるようになるんじゃないかと思って。

それでいうとトゥモローゲートでも普通に使ってますよ。会社名を入れるだけで、昔なら有料で調べてもらわないといけなかったような情報がパッと出てきますし。

そうなんですよね。それこそコンサル会社に頼んだらものすごい請求が届きそうな情報が、無料で手に入ってしまうんですよ。…となるとブランディング会社としては、AIに調べてもらった情報を整理して、企画に落とし込むみたいなところを担当するわけですか。

あり得ますよね。現状でもWebサイトのたたき台なんかはAIで作ったりしますから。コンセプトはこれでターゲットは誰で、どういうことを達成したいかって入力すれば、AIがWebデザインを出してくれる。しかもそれが全然見当違いかというと、そんなことなくて。

そうですよね。でも仕事ってそうやって変化していくもので。例えば私が社会人になった頃なんて、まだパソコンも普及していない時代で。当時のデザイナーというのは、画用紙に絵の具でイメージ図を書いて、それを写真にとって取り込んで…みたいな仕事だったわけです。場合によっては紙粘土とか工作とかもして。

そうなんです。逆に言えば、そういう今のデザイナーさんは、パソコンがあればデザインできるけど、絵を描いたり紙粘土で何かを作ることはできなかったりする。でもデザイナーとしては困らず喰えているわけで、つまり時代によって求められる技術が変わっているわけですよ。

そうそう。AI時代になれば、実際に手を動かしてデザインする能力より、AIを使いこなすためのプロンプト能力の方が価値が上がると思うんです。生成AIも、どういう指示を出すかで結果がものすごく変わるじゃないですか。

全然違いますよね。適切なプロンプトを書けるというのは、確かに重要なスキルになる気がします。ただ一方で、「AIの使い方が上手いだけ」では成り立たない部分もある。例えば僕らの仕事にしても、クライアントの業界知識がない人がいくらAIを使っても、いい企画は作れないわけで。

確かにそうですね。そういう意味では人間の脳みそもまだまだ必要なんでしょう。それにAIについても、これだけいろんな会社がどんどん最新バージョンを発表していると、精度はどんどん高まっていく一方で、価値はいずれ暴落すると思うんですね。要するにAIがコモディティ化するタイミングがやってくる。

そうそう。うーん、でもどうだろうな、そういう部分すらAIは理解して、そのうちできるようになっちゃう気もします。最近は作曲とかもできちゃうじゃないですか。しかも、「この人が作ったような曲を作って」と言えば、それっぽくできてしまう。もう正直、AIがどこまでいくかは想像できないですよね。
対談している二人
西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社 代表取締役 最高経営責任者
1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数19万人とSNSでの発信も積極的に展開している。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。