vol.8 【自分の世界観を作っていくために、書斎で叱られたい】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

自分の世界観を作っていくために、書斎で叱られたい

こんなことは、7年たった今でもこの一度しかありません。

「あのね、叱り飛ばしてくれる龍が欲しいのです」
迫力満点に叱ってほしい、という言葉に最初、耳を疑いました。

「日常に流されてしまう時に、「そっちじゃないだろう!」と叱り飛ばしてくれる龍がいい」

Sさんの仕事は、経営者へのアドバイスや従業員研修等を行う士業。資格をたくさん持ち、
出先でも、常に仕事関連の本や雑誌を持ち歩く、向上心の強い方です。だから、叱り飛ばす龍は必要なさそうなのに、なぜだろう?キッパリと言い放たれた言葉の背後には何があるのだろう?

さらに聞くと、「今、経営者に頼られて相談に乗るのがメインだけれども、日々勉強する中で、本当は、執筆や講演をやりたいことに気がつきました。だから、今の延長に流されがちな自分を叱り飛ばしたいのです。本当の心の声に耳を傾けて、自分の世界観を創っていく50代にしたいから」と打ち明けてくれました。

その言葉に、孔子の「四十にして惑わず、五十にして天命を知る」を思い出しました。

実際、最新の脳科学研究では、脳内には2人の自分がいるとされます。高い理想を求めて行動する自分と、過去の記憶によって行動する自分です。多くの場合、過去に縛られて理想に踏み出すのが難しいそうです。

過去に縛られた自分を自覚しているからこそ、理想の自分を龍に託して叱り飛ばそうとしているのに違いありません。

自分と自分で対話しながら自分を掴んでいくのが、時代を超えた真理なのでしょう。

そういった真理を重ね合わせてイメージする。そうすることで、想いをさらに引き出すのが、ビジョンクリエイターの役割です。過去の自分を叱咤して、天命へと上昇する自分=青龍。テーマはのぼり龍だと、はっきりわかりました。勢いよく駆け上る龍です。

思い浮かんだ龍を伝えると、

「その通りです。後は、お任せします」とSさんはにこりと笑いました。

その後、アトリエで構想を練っていると、上昇気流を表す白が浮かんできました。また、白は、光にも、滝にも、風にも、感じられる色です。空高く飛び回る龍にぴったりです。
そうして、下絵が完成し、本画にうつります。本画では、絵具を幾重にも重ね、拭いたり削ったりします。色が響き合って、ピタッとおさまるところまで描くのです。

龍を描くときは「まるで勝手に生き物として息づき始めた!」と感じるまで描き重ねていきます。
そうして、数ヶ月後、青龍が完成しました。

Sさんにお届けすると、「予想以上のパワーに圧倒されます。門間さんの絵を何枚も見てきたけれど、今までで1、2を争うパワーです」と、嬉しそうに言いました。そして次に、驚くことを聞かせてくれました。
「実は途中経過の画像を見ただけでも、変化が起きていました。すでに依頼した頃よりいろいろ気にせず仕事ができるようになってきました。だから、完成が楽しみで、たのしみで‥‥しかたがなかったです」と、穏やかに微笑みました。

続けてユーモアたっぷりに「とにかくパワーがすごいから、一緒に寝られなそう。いや、寝ないけどね。書斎に飾って、「ガンガン仕事しろ」と、仕事が捗るように活躍してもらいます」と言いました!

そして、数年経った後、「あれから青龍に叱り飛ばされながら、自分を見失わないよう歩んできました。そのおかげで、あの時理想にしていた執筆や講演の仕事が、メインになりました」とにっこり報告してくれました。

その言葉から、青龍の叱咤激励を得て、Sさんの世界観が磨き上げられたのが伝わってきました。


今回完成した作品 ≫「さらなる高みへ」

 

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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