この記事について
自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。
『幸せを運ぶハッピードラゴンたちが生まれた理由』
「この龍たちは、見ていると、自然に笑顔にしてくれるね。
今までの暗い気持ちや、悩みを吹き飛ばしてくれる、
幸せを運んでくれる龍だね。
幸せを創る龍たち【make Happy Dragon】だ」
ハッピードラゴン。
暗い気持ちを龍たちが吹き飛ばしてくれた。
元気になる力をくれた。
2人とも心の底から実感して、スッと言葉になりました。
それは、オーダー絵画を描いたご縁で、Oという会社の新しいテーマを模索、ブレインストーミングをしている時でした。
ブレインストーミングは、問題の解決策や新しいアイデアを発見するために使用される「集団発想法」です。 複数人でアイデアを出し合うことで、短時間でたくさんの新しいアイデアを集めることを目的としています。アイデアに対して批判・否定をしない、変わったアイデアを歓迎する、質より量を重要視する、アイデアをまとめるという4原則があります。
変化が激しく、先が見えにくいこれからの時代を生き抜いていくには、画期的な発想・アイデアが欠かせないため、ブレインストーミングの重要性が増していると言われています。
ブレインストーミングの相手は、デザイナーのKさん。元大手自動車のデザイン部長をして、退職後大学教授も務めた方です。デザイン壁画のプロジェクトを一緒に取り組んだのが最初の出会いでした。2023年の春です。その時、「門間さんのオーダー絵画は右脳思考のデザインシンキングと同じプロセスだ」と興味を持ったKさんに、その場で「画家の視点からデザインシンポジウムでゲストとして話さないか?」と提案されました。
デザインシンキングは、ユーザーとの共感から問題定義を行い、アイデアの発想とプロトタイピング、ユーザーテストを繰り返すデザイン・プロセスとマインドセット。
オーダーメイド【対話できる絵画】は、クライアントとの共感を大事に、一緒に構想を考え、テーマを借り決めして、セッションを重ねて世界に一枚の絵画を完成させていくので、プロセスとマインドセットが、デザインシンキングと一緒です。
ですので、10月にシンポジウムで実際に話すことになり、ただ一人のために深く狭く掘り下げることで生まれるオーダー絵画が、Kさん以外のデザイナーからも興味を持たれました。
それらの経緯から、11月にKさんとブレインストーミングをすることになったのです。
しかし‥‥。一生懸命にやっているのに、なぜか1時間経っても一向にアイデアが走らない。
どうやら、2人とも意気込みすぎて空回りしてすっかり疲れてしまったようです。
「そういえば、『ついでに』ディスカッションしようとお願いしていた龍の絵たちがあります。すっかり煮詰まってしまったので、目先を変えて、この子達を見ていただけませんか?」
と投げかけると、「龍の絵たちを見て気分転換した方が良さそうですね」Kさんは頷きました。
その龍たちが生まれてきたのは、私があるオーダー絵画を描いているときでした。風神雷神をモデルに、龍の風神雷神を描くことになったのです。その時、「恵比寿や大黒といった神様、サンタクロース、観音様、なども龍で描ける」と、頭の中に次々とイメージが湧き起こってきたのです。
イメージも、言葉でのブレーンストーミングのように、変わったアイデアを歓迎して、まず、質より量を出して見ることが第一。イメージを描き出していくと、11月終わりには、20くらいの作品アイデアが生まれていました。
そして、出したものを見てまとめる約束をKさんと交わしていたのです。
iPadに入れてきた龍たちの画像を開いて、Kさんに見せました。最初に見せたのは、サンタクロースをモデルにした龍。クリっと可愛い笑顔で、蝶ネクタイのような大きなリボンが目を惹くように描きました。見た途端、Kさんがクスリと笑いました。「なんだこれは!可愛すぎる!!」
ブレーンストーミングがうまく進まなくて曇っていた表情が、パッと明るくなりました。そして、「クリスマスだから、緑のリボンがいい」と、スッとアイデアを口にしました。「そりか何か‥‥。クリスマスにちなんだものが、脇に何かあるといいかも」スルスルと次々アイデアが湧いてきたのです。
次に、十一面観音の龍のイメージを見せました。クリスマス龍と違って澄まして神聖な空気感を醸し出しています。「うーん、面白い!」Kさんの目が輝きます。さらに、恵比寿をモデルにした龍がタイをつっているのを一緒に見て笑いながら、次々にイメージをブラッシュアップするアイデアが湧いてきました。気がついた時は疲れも吹き飛んですっかり楽しい空気に包まれました。「ハッピードラゴンだね」「本当、この子達に今、私たちは救われています。幸せをもらいました」
そして、この幸せな時間のおかげで、最初に取り組んで行き詰まっていたブレインストーミングに戻った時、新たな糸口を見つけることができました。
著者の自己紹介
ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。
今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。
人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。
人生
の節目には様々なテーマが訪れます。
経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。
こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。
でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。