vol.116【内観をするのを助ける絵を手に入れたい|半導体業界の先読みが得意なSさんの場合】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

『内観をするのを助ける絵を手に入れたい|半導体業界の先読みが得意なSさんの場合』

 

「内観を助ける絵っていいな、と思ったのです」初めて顔を合わせたとき、Sさんが教えてくれました。

絵のオーナーの紹介で、最初に電話で話しました。「日中だとなかなかゆっくり時間が取れないので、早朝でもお会いできますか?」ハキハキした男性の声でした。深みもあり知性と温かみ、安心感を感じさせる空気感がありました。
「時間の質を大切にしているので、お客様が最も集中しやすい時間にお話を伺うのが信条です。早朝や夜遅くに対応することは今までもありましたし、もちろん大丈夫です」「ありがとうございます。朝6時だと大変助かるのですが、大丈夫ですか?」「もちろん、大丈夫です」と日時が決まりました。

待ち合わせの場所に早めについて場をセッティングできた頃に、Sさんから「あと数分で着きます」と連絡が入りました。数分後、帽子を目深にかぶり、早足で歩きつつも注意深く目を配りながらカフェの席の間を歩いてくる男性が現れました。声から受けたイメージ通りの人。【きっとこの男性に違いない】と直観して、席を立って頭を下げました。私の姿を見つけると、あっという間にテーブルに近づき、「門間さんですね。Sです」とお辞儀をしました。「メールで最後に連絡取り合った時、署名の中にHPがあったので、プロフィールにある顔写真も拝見してきました」

鋭い観察眼を持っている人なのだな、と伝わってきました。
実際に、専門分野の半導体について、「同業者や取引先の誰よりも先を読んで仕事を準備するのが得意なのです」と打ち明けてくれました。そして、「先を読むには、静かに考える朝の時間を大事にしています。常に新しい知識の勉強をしつつ、自分の頭をふり絞って考え抜くので、その時、気持ちを中庸にしてくれる絵、内観を助けてくれる絵があるといいなと思いました」

中庸とは偏らず、過不足なく調和がとれていることを意味します。 「君子は中庸し、小人は中庸に反す」は古代中国に生まれた思想家・哲学者である孔子の言葉。内観は、自分の意識やその状態を観察すること。

いくら真剣に考えても、考える土台に偏りがある場合は、考えた結果も偏りがちです。人間なのでまったく偏りがないことは難しいですが、自分の思考状態を客観的に観察してバランスを保つように気をつけることはできます。

「わかりました。Sさんの内観を助ける絵はどんな絵なのかを一緒に探していきましょう」

「ありがとうございます。門間さんの、<対話>という定義から一対一の関係を考える姿勢、コンサル、セラピストなど、分野での区分けをしないで【人そのものを見る姿勢】がいいなと思いました。

プロフィールだけでなく、他の記事も読んできました。専門用語での対話と専門用語を使わない対話とを使い分けるのも気に入りました。
専門用語での対話は、その分野での細かな内容を理解するには欠かせない。専門家と深い理解の上でのディスカッション、精密な思考経路でのディスカッションが可能です。その一方、専門用語で定義することで、それ以外の視点が切り取られることで、盲点が増えます。

専門用語を使わない一般用語での対話は、広い視野が得られやすい。分野を超えた対象者とディスカッションが可能です。でも、一般用語での表現力が乏しい場合、専門用語での対話と情報量が格段に低くなる可能性がある。

門間さんは、専門用語での対話と一般用語での対話の両方を必要に応じて使い分けるので、きっと何か新しいものが見えてくると期待しています」

その後、セッションの中でSさんの内観を助ける絵は、思考のアクセルとブレーキの両方を表現する2枚の龍の絵に発展していきました。

どんなふうに発展して、2枚の絵に別れていったのか。それはまた別の物語です。

今回完成した作品 ≫

 

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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