【読むPodcast | ゲリラマーケティング】「商品のパッケージ化に皆が反対します」2017年11月8日配信

第267回「商品のパッケージ化に皆が反対します」商品をパッケージ化するのではなく、提案手法をパッケージ化してみてはいかがでしょうか。

 

栃尾

こんにちは。安田佳生のゲリラマーケティング。ナビゲーターの栃尾江美です。

金子

10月15日で34歳になりました。金子亜佑美です。イェイ。

安田

安田佳生です。

栃尾

今回はこのような質問を頂いております。いつも楽しく拝聴しております。個人的にウダウダマーケティングも好きなので質問しようか迷いましたが、最近ピックアップされた特別化についてもう少しお話を伺いたく質問させて頂きます。個人的に「タコから学ぶこの世の仕組み」の話が好きです。早速質問ですが、特別化したサービスは組織的に展開することが可能なのでしょうか?過去10年間、体験型の研修事業を運営しております。プログラムそのものが担当ファシリテーターに左右されるため、組織の課題抽出から改善提案まで1社1社カスタマイズして提供しております。そのため、会社というよりはファシリテーターに顧客がつくことが多いです。おかげさまで顧客に喜んで頂くことが多く、もっと広げていきたいと考えております。個々に顧客がつくとそのサービスを組織的に展開するのは難しいように感じます。ちなみにパッケージ化して組織的に展開すればと考えますが、反対派が多数です。特別化とは少し異なるかもしれませんが、ご教授願います。以上、よろしくお願いいたします。ということです。

金子

おお、すげえ、何言ってるか全然分かんなかった(笑)

栃尾

体験型の研修事業。

安田
何言ってるか分かんないですよね。
金子

何言ってるか分かんなかったですね。

安田
つまり、企業の社員さんをスキルアップするための研修事業を、多分やってるんだと思うんですね。研修というのはファシリテーターさんと呼ばれる人が研修の先生で、例えば「論理的思考力を高める」みたいなのだったら、その高めるためのプログラムを進行していく係の人。「じゃあ、みなさんこんなワークやってみましょう」みたいな、そういうのがファシリテーターさん。
金子

ファシリテーターさんを回してる人がこの人?

安田
ファシリテーターさんが何人か多分色んな研修会社さんに所属してて、そのファシリテーターさんが企業に行って研修プログラムを進めるんですけども、企業から「あのファシリテーターさんでお願いしたい」とか「あの先生頼んで」みたいなのがあるんですよね。つまり、1回研修をやって、社員さんに「あの人のやり方すごい良かった」とか「面白かった」とか評判になると、別のプログラムでも、例えば論理的思考力1回目やって、次リーダーシップ研修をやるときも「あの先生でお願いしたい」みたいなことになるわけですね。ファシリテーターさん、先生はだいたいフリーでやってる人が多くて。
金子

ああ、そうなんだ。

安田
はい。フリーの研修講師さんが多くて、「1回研修したらいくら」みたいな費用をもらうわけなんですね。で、研修を運営している会社は企業からお金もらって、そこからファシリテーターさんにお金を払うっていう、だいたいそういう流れなんですよ。金子さんのための説明にだいぶ時間使ってしまいましたけど(笑)
金子

助かります。

安田
まあ、そういう流れになってまして。だから、研修の講師さん、先生にお客さんがつくっていうのはしようがなくて。納品をその人がやってるんで。だから「あの人にもう1回お願いします」みたいになるんですね。だけど、そうすると仕事を受けてる研修会社としたら、その先生に発注されてるんであって自分の会社が選ばれてるわけじゃないんですよ。自分の会社を選んで欲しい、つまり先生が特別化されるんじゃなくて自分とこの会社がお客さんから特別な存在になりたいわけですよね。
金子

なるほど。

安田
だから、つまり「どの先生がやってもこのプログラムが素晴らしいね」っていう。例えば論理的思考とかリーダーシップとかよくあるけど、そういうんじゃない、この会社オリジナルの「すげえ!」みたいなプログラムを作って、「ファシリテーターさんとか講師は誰でも良いから、そのプログラムをぜひやりたい」と言われるようなものを作りたいっていうことなんですよ。
金子

なるほど。

安田
だけど、その商品をパッケージ化しちゃって、商品自体がすごいっていうことは商品が決まってるっということなんで、そうするとやっぱりパッケージ化した商品ってすぐに飽きられちゃったり他社が真似しやすかったりするんですよ。
金子

だから反対派が多いと。

安田
あとは1社1社カスタマイズするというのがここの売りになってるんで、楽な納品ができて商品の価値高めていったら「すげえ!」って言われるかもしれないけど、やっぱりカスタマイズには価値があるんじゃないの?っていうことなんじゃないですかね。
栃尾

カスタマイズっていうのはファシリテーターさんがやるものなんですか?

安田

ファシリテーターさんがやる場合もあるし、研修受けてる会社の担当者さんがカスタマイズしてファシリテーターさんに頼むっていう場合もありますね。両方で相談して決める場合もあるし。

栃尾

後者だったら会社のバリューがちゃんと出ますよね。

安田
まあ、でも、受ける側からすると「講師さんがやってくれてる」っていうイメージになっちゃうかもしれないですね。
栃尾

打ち合わせを重ねている担当者だけは知っているけど、みたいな形ですかね。

安田
そうですね。研修を受けてる人たちは知らないっていう。
栃尾

知らなくてもいいですよね、受けてる人は。どうですか?その人が注文するわけじゃないですもんね。

安田
 発注するのは研修の発注を任されてる人なんですけど、だけどやっぱり受けた人の評判が悪いと発注した人が「おまえ何発注してくれてんの?」みたいなことになっちゃうんで。つまり、その人の社内での評価は受けた社員さんがどれぐらい満足してるかっていう満足度で決まるというところがあるんで、どうでもいいっていうことにはならないとは思うんですけど。だけど、どこかで・・・
金子

ああ、分かった、そういうことか。分かりました。あれだ、良いとこ取りされてるってことですか?ファシリテーターさんに。

安田
良いとこ取りっていうか…まあ、そうですね、ファシリテーターさんが人気が出ちゃうってことですね。
金子

「自分がせっかくやってんのに、なんでこいつに良いとこ取られてる」みたいな感じですか?

安田
うーん、まあ、僕が思うにですね、この会社のことよく知らないんですけどね、一般的にすごく裏方で1社1社本当に綿密にカスタマイズしていって、その人に合うような講師さんを選んで、その会社に合うようなプログラムをきちんと作っている人は、たしかにファシリテーターさんに人気もあるけど、やっぱ担当者の人に絶大な信頼があるんで、その人との間に結構特別な関係ができてると思うんですよね。で、あまりにもファシリテーターさんに頼っちゃう人は、その会社の課題を真剣に考えて向き合ってプログラムを作るとか、「そもそも今回の依頼があった論理的思考とかに果たしてこの会社は今価値があるんだろうか?必要なんだろうか?」とかいうことぐらいまで考えて入り込むっていうことをやれば良いんですけど、やってなくて、「あの、講師さん、このプログラムで頼むよ」って言われて「あ、分かりました」とか言って設定してるだけの人が多いんだと思うんですね、実際には。だから、やっぱファシリテーターさんの人気に乗っちゃってるっていうことになるのかなって。
栃尾

うんうん。

金子

そうか。なるほど。

安田
だから、組織的に特別化することはできると思うんですけど、そのために何が必要かっていうと、やっぱり担当者の「営業マン」って言われてる営業とか企業の研修を取ってくる人、仕事として、その人の力量っていうかスキルというか、組織哲学みたいな、そういうのを高めていくしかないんじゃないかと思いますけどね。
栃尾

結局、課題抽出から改善提案までみたいな。あとはそのプログラムの作成みたいなところをよりクオリティを上げていくっていう方向にしたほうが良いんじゃないか。

安田
そうですね。結局差別化と特別化どう違うかっていうと、「他社と比べてここが良いよ」とか「ここが安いよ」っていうことじゃなくて、その人との関係性の中で特別化していくっていうことなんで、例えば「ずっと使ってるマグカップ」とか「思い入れのある喫茶店」みたいな感じで、ある人にとっては特別な場所とか特別な商品っていうことなんですけど、やっぱ特別化ってその裏に必ず人間がいるんですよ。例えばそのお店が特別なのは、そこで出会っていつも一緒にお茶飲んでた相手がいたりとか、思い出のマグカップはそのとき付き合ってた人がいたりするんですよね。だから、商品に対して特別な感情を抱くっていうのは、例えば誰かが作ったお茶碗とか湯呑みとかっていうのは、湯呑みそのものじゃなくてそれを作っている作り手との間に特別な関係ができるんですよ。だから、やっぱり商品に特別な感情を抱かせるっていうのは難しくて。会社とか。そうじゃなくて、ファシリテーターさんにいってるところを、自分とこの会社の中の社員さんとか担当者の人に特別な気持ちを持ってもらうふうに変えていくっていうことはできると思うんですね。
金子

どんだけ良いもの作っても、作り手の関係性が良くないとそれはあんまり良くない。

安田
そうですそうです。商品が好きでも、それを作ってる人がものすごく嫌いだったら…。すごい嫌いな人が作った料理とかあんま食べたくないでしょ?
金子

うん、たしかに。

安田
それと一緒なんですよね。なんかものすごい真面目な回答になってしまいましたが、じゃあ、おまとめをひとつ。
栃尾

パッケージ化したりするのは特別化という意味ではあまりお勧めはしません、ということですよね。で、ファシリテーターさんがいらっしゃるのはしようがないというか、そういう状況なので、お客さんとやり取りする担当者のクオリティを上げてカスタマイズするっていうところを良くしていくっていうことで人と人との特別化が強まるんではないでしょうか。

金子

おお、すごい!

栃尾

という感じですかね。

安田
はい、ということで本日は以上です。ありがとうございました。
栃尾

ありがとうございました。

金子

ありがとうございました。


*本ぺージは、2017年11月8日、ポッドキャスト「安田佳生のゲリラマーケティング」において配信された内容です。


ポッドキャスト番組「安田佳生のゲリラマーケティング」は毎週水曜日配信中。

安田佳生
境目研究家

 

 

 

栃尾江美
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金子亜祐美
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