
今回はこんな質問をいただいております。飲食店勤務の方からです。第1回の放送からずっと聴いています。いつも楽しいポッドキャストをありがとうございます。単刀直入に質問させていただきたく思います。私は大手チェーンの飲食店で働かせてもらっています。チェーン店ですので、商品のラインナップ、味など、いい意味で同じクオリティが出せる、悪く言えばそこそこ、そういう形の営業になっています。なんとなく毎日同じことの繰り返しになってしまいがちです。接客面に力を入れたり、他店との差別化を図っていくことも考えたり実践したりしていますが、いまのところ大きく抜きん出る成績を店舗として残すことができていません。チェーン店の中で群を抜いてお客様に支持していただくお店をつくるのに、いちばん大切なことは何だとお考えでしょう?飲食に限ったことではないと思うのです。コンビニでも流行ってるコンビニ、流行ってないコンビニがあると思います。安田さん、栃尾さん、金子さんが考える、チェーン店で圧倒的に“出る杭”になる方法を教えていただきたいです。よろしくお願いします。ということです。

「第1回の放送からずっと聴いてます」ってすごいなあと思ったのと、あと、この方は飲食店の中で何をされてる方なのかなと思ったんですけど。圧倒的に出る杭になる方法については、やってないことをやるってことですかね。

もう1回行くときに、トイレとか、そういう細かいとこがきれいみたいなのは特に印象に残っているかなと。1回では残んないかもしれないけど、何回も行くと印象に残るかなと。あと、やっぱり知り合いの人がいて、名前っていうか顔を覚えてもらっていたりすると、また行きたいなあとか。特に子どもがいたりすると、かわいがってもらえると「あのおじさんいるから行こうよ」みたいに言いやすいなっていうのはあるかな。それぐらいしかわかんないですけど。

まあ、だから、チェーン店で、本当に他と違うことをやっていいのかどうかっていうのをまず考えたほうがいいと思うんですけど。そこが結構大事で、だいたいやっちゃいけないとこが多いんですね。でも、特殊なサービスとか、金子さんがおっしゃってたような、絶対他でやらないことができるといいんですけど、できないって考えると、ものすごいできることが限られてきて。となると、やっぱり栃尾さんのおっしゃるように、「人」になるなって感じが僕もしますね。

人のクオリティっていうかですね……まあ、これ、お店に限らず、会社でもたぶん今後こうなると僕が予想してるもんがあるんですけど、たとえばお寿司屋さんとか、ちょっと前までは有名店とかのお寿司を食べたいなっていう人、すごい多かったと思うんですけど、いま、どちらかというと、「どの店で食べた」っていうよりは「誰の握った寿司が食べたいか」っていうことが大事で。

だから、ひとりひとりの、「この人に握ってほしくて来た」みたいなお客さんを増やしていくしかないんですよね。だから、企業も企業のブランドで、誰が売っても売れるようなシステムをつくってるんですよ、ほとんどの会社。それが会社にとっての効率化なんですよ。だけども、それが通用しなくなってきてて。なので、今後は、僕の予想としてはですよ、たとえば営業マン30人抱える会社があるとするじゃないですか、そのときに、ひとりひとりが集客やる時代になるだろうなと思うんですよ。会社のブランドとか会社の集客力で来たお客さんを振っていくんじゃなくて、個人のブランドと集客力で集まってくる人を会社が使わせてもらうっていう。だから、それでいくと、チェーン店っていうよりは、ひとりひとりにお客さんつけることですよね、やっぱり。

ひとりひとりが、自分がWebの中での自分ブランドをつくり、「この人のお店行って、この人のつくるもの食べたい」とか、「この人の接客を受けてみたい」とか、「この人に会いたい」とか、それをやるしかないなって感じがしますね。ただ、それをやっていいのかどうかっていうね。

旅行代理店でもたまにいらっしゃるんですよ。指名で、他のツアーとぜんぜん違って、勝手にカラオケ歌ったりとかする添乗員さんがいて、でも、その人がいるだけで売上すごい上がるんで、その人にだけ特別枠を設けてて、その人だけは好きなことをやっていいってなってるんですけど、今後そういう人がたぶんすごい増えていくと思うんですよね。

でも、本当にそういうふうになると、その人にお客さんがついてるんで、言ったら同じ外食のウエイターさんとかウエイトレスとか料理人でも収入増えると思うんですよね。だって、その人を雇えばお客さんついてくるんで。だから、ひとりひとりが、ここの社員さんっていう、いまはそういう立場かもしれませんが、それを捨てちゃって、フリーランスのつもりで「自分ブランド」をWebの中につくるっていうのがいちばんいいんじゃないですかね。

まずはこの人がやればいいんじゃないですかね。この方がまず、「このチェーン店じゃなくても、どこに行こうと、あなたが行った店に私はついていきます」ぐらいな感じのブランドをつくると。そのためには何が必要なんだろうかってことを考える、ってことがすごい大事だと思いますね。ホント、だから、添乗員さんは有名な人でね、屋久島に年に何回か来るっていう方、教えてもらったんですけど、その人が行きたいところに自分で計画立てて、「その人が言うんだったら絶対ついていく」っていうファンが一定数いるんですよね。

そうそう。だから、ホントね、いかにファンをつくるかっていうのは、飲食店に限らず、人生の中でいちばん重要なことになるんで、この方はまずファンつくるのがいいと思いますね。「Myファン」をつくってください。
*本ぺージは、2019年8月28日、ポッドキャスト「安田佳生のゲリラマーケティング」において配信された内容です。音声はこちらから
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