
そうですよね。だから、「この状況で、この人相手にこの質問だったら、相手は喜ぶかな」っていうのがまずあるじゃないですか。「場が動くかな」とか。あとは、切羽詰まって、さっきの「死にたい」じゃないですけど、自分の人生にとって大事な質問はしたほうがいいと思うんですね。

はい。たとえば、いま、「ようやく追いついてきて、今日でカリキュラムのスケジュールがちょっと遅れてるのを取り戻すんだ」みたいな先生に、「先生、そもそも勉強って何のためにするんですか?」とか言うと、たぶん、すごいうっとうしがられると思うんですけどね。だけど、本当はそういう質問に答えるために先生っていうのはいるんだと僕は思いますけどね。

先生にとって、つまり、この授業という場において、いい質問をするっていう人が、小学校6年生にこんなこと言ってわかるのかどうかわからないんですけど、この子の知能を信じるとして、そういう人がこれまでの世の中では「いい子」「扱いやすい子」「仕事ができる人」として重宝されて、いい会社に入って成長していったわけですよ。

いままでは。場の空気を乱さず、職場で必要とされる質問をし、言われたことだけきっちりやるみたいな人がある程度稼いでいったと。でも、いま、世の中は変わっちゃいましてですね、そういう人がやることなくなってきたわけですよね。「言われたとおりやるような人はいらないよ」っていうのが、あらゆる大企業で「自分で考えろ」って言ってるんですよ。

つまり、「何をやったらいいか指示をもらって、それをそのとおりやる人はいらん」と。って言われてるのに、授業で「こういう生徒がいいよ」っていう生徒を演じることには、もう、あんまり意味がないんですよね。

企業でもそうなんですけど、そういう質問をすると上司とか同僚とかは「面倒くせえな」と思うんですけど、そこの調和を保ってるから日本の会社ってどんどんダメになっちゃうんですよ。
*本ぺージは、2020年2月26日、ポッドキャスト「安田佳生のゲリラマーケティング」において配信された内容です。音声はこちらから
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