こんにちは。安田佳生のゲリラマーケティング。ナビゲーターの栃尾江美です。
今年はいまだかつて経験したことない夏を過ごしています。金子亜佑美でーす。
安田佳生です。
はい。では、今回は60代以上の方からご質問いただいてます。毎週楽しく聴いています。私は典型的な地方都市に住んでいて、郊外の国道にはショッピングモールがあるものの、駅前商店街は寂れています。バブルの頃には駅前再開発で大きな商業施設ができましたが、そこのテナントはほとんど撤退しました。これから車を運転できなくなったら郊外に買い物にも行けず、駅前で飢え死にしそうです。うちの市長に知恵を貸してあげてください。よろしくお願いします。ということです。
よくある地方都市の悩みですよね。
具体的にはどういう質問なんですかね。どういう質問だと捉えましたか?
地方の都市が寂れ、駅前の商店街はシャッター通りになり、ショッピングモールはあるけれども車がなくなったら行けないし、どうやって生活したらいいの?ってことなんですよね。
じゃあ、年を取って車運転できなくなった、そのときのためにどうすればいいですか?ってことなんですかね。
違うんじゃないですかね。もうちょっと、うーん……
「活気を取り戻したい」みたいな?
そうですね。
そんな感じですかね。
「地方にもっと活気を取り戻して、歩いて行けるところにお店があり、みんな盛り上がってて……みたいなことをするのが市長の仕事だろ」ってことなんじゃないんですか。
なるほど。
うん。
はい。
金子さんの今年の夏は何が違うんですか?
(笑)
えーっ、今年の夏ですか!?いつもは普通に外に出て仕事に行って、っていう生活が、いまは家で仕事をして、自分で自分の時間をつくり、っていう感じが。もう、なんかぜんぜん違うなっていう感じですかね。外に行って、人の下で仕事をして、自分の時間もつくれないまま終わるみたいな、「あー、だるい今日」みたいなのはあんまりないなっていうのが今年の夏ですね。
ほぉ。つまり人生が充実してるってことね。
はい。と思います。
すばらしい!
うん。
いぇい!やったぜいっ!
(笑)。えーと、市長に知恵をお貸しください、金子先生。
なんで私!?(笑)
(笑)
(笑)
いやぁ、あれですよね、だからシャッター商店街をシャッター開けたらいいんじゃないすか?
なるほど!……どうやって?
おじいちゃんとかおばあちゃんとか手が空いてる方に市長さんがお声をおかけして、みんなで自分で食べる分だけのものを売り、物々交換みたいなことをシャッター商店街でしたらどうですか?
いいですねぇ、ジジババ商店街ですね。
うん。
すばらしい。
そういうとこだったら行きたい。
行きたいですねぇ。
です。
よく昔はですね、そういう「地方都市をこれから変えたい!」みたいな、まあ、会社を変えるのが僕の仕事ではあるんですけど、地方都市ってやっぱり同じように悩んでるんで、人口が減っていって、どんどん人がいなくなって、高齢化して、お店は閉じていく……「どうやって元気になるんだ?っていう講演をしてほしい」みたいな依頼がよくあって、昔は行ってたんですけど、行っても行っても変わらないんで、そういう仕事、もうやらなくなっちゃったんですけど、変えようと思ったら簡単なんですよ。
そうなんですか?
簡単ですよ。さっき金子さんがおっしゃってたように、何かに特化して思いっきりかたよった街をつくればいいんですよ。たとえば昆虫好きだけを集めた都市をつくるとか、お酒を一切飲まない商店街をつくるとか、いまだったらタバコを吸う人が肩身せまいんで、ヘビースモーカーだけの街をつくるとか、何でもいいんですよ。
なるほど。
なるほど。
どこ行っても地方都市って一緒で、ミニチュア版なんですよ、東京の。「Wi-Fiがあって便利ですよ」とかね。そうなってくると、「それだったら東京のほうがいいよな」とか「大都会がいいよな」ってなるわけですよ。だから、1,000人いたら過半数の人が「いい」と思う街にしようと思っていくと、だんだんだんだん都会に近づくのは当たり前な話であって、もっと、1,000人いたら30人40人の人が強烈に住みたいんだけど、残りの人にとってはまったく魅力ないっていう街を目指さないことには、誰からも選ばれないんですよ。普通のお店だったら当然なんですけど、外食店でも、「どんなお客さんでもウエルカム」みたいな店って結局誰も来なくなるんですよね。
なるほど。
うん。
たとえば、みんなでワイワイ騒ぎたい人もいれば、静かな雰囲気を味わいたい人もいるわけで、騒いだお客さん入れちゃったら静かな人は来なくなるし、「静かにしてください」って言ったら騒ぎたい人は来なくなるわけで、だから「ウエルカム」ってやっちゃうと誰も来なくなっちゃうわけですよね。
うんうん。
なるほど。
だから、お店でも「うちはこういうお客さんのための店ですよ」「静かに本を読むための店ですよ」とかってあるわけでですね、それをやるしかないんですよ。人に選んでもらおうと思ったら、人を選ぶしかないんです。結局、地方都市ってそれができないんですよ。
決断できないんですかね。
決断できないんじゃなくて、決断するプロセスがそういうふうにできてるんですよ。多くの方の意見を聞き、みんなが「NO」って言わないような、コンセンサスがとれたバランスのいいものになる。Aさんにとってはいい街だけど、BさんCさんにとってよくない街っていうのはOKがでないっていう仕組みなんですよ、民主主義で。
たしかに。
あー、そういうことか。
住民の大多数に反対されたらできないですもんね。
そう。そうやってみんなが少しずつ去っていくっていうのがいまの現状でして、商売に置き換えたら簡単なんですけども。だから、市長さんに必要なのは「知恵」じゃなくて「勇気」なんですよ。「自分は責任とってこれをやるかわりに、次の選挙では落ちてもいいし、みんなに恨まれてもいいんで、とにかくこの街を別の街に、活気のある街に変える」って、腹くくるしかないんですよ。やっぱり誰も責任とりたくないんで、公務員の方とか。
はい。
うん。
日本の政治家は一緒ですよ。国会議員の政治家さんとかも、コロナで「みんな気をつけてくださいね。だけど経済も盛り上げてくださいね」みたいな、「どっちなんだよ!」っていう感じじゃないですか。
はい(笑)
うん。
「どっちか」って言うと、そうじゃない人から反感を買って選挙で不利になるんで、言わないわけですよ。そうなんです、簡単なんです、だから。必要なのは知恵じゃない。
おっ。
なるほど。でも、自分ひとりでも結構何かに特化するって、やっぱり勇気がいるなって、私、すごく最近思っているんです。何かを捨てなきゃいけないので。
はい。
お~。
だから、仕組みもそうですけど、やっぱり決断……「決断じゃない」っておっしゃいましたけど、決断とか勇気みたいのはいるだろうなって、「失敗したら大変だし」みたいのは思うんですけど、どうなんでしょうか?
うーん、何をもって失敗かってことですよね。「失敗をしない」っていうことをずーっと突き詰めていくと、たとえば会社だったら、リスクをできるだけなくしていくと最終的には商品開発もできないし、新規営業もできないし、人も採用できないんで、必然的につぶれていくんですけども、同じだと思いますけどね。失敗をどんどんどんどんなくしていくと、最終的には失敗する以外なくなるっていうか。
はい。
ふーん。
いまやるか、先延ばしするか、みたいな違いだっていうことですかね。
いや、失敗のない人生なんていうのはないってことですよね。だから、たとえば甲子園を目指して甲子園に行けなかったことを「失敗」って言うのかどうかってことですよ。自分で独立して仕事やろうと思って、稼げなかったっていうことを「失敗」っていうふうに位置づけるっていうね。みんなそれを「失敗」って言うじゃないですか。
はい。
でも、やりたいことをやってみて、精一杯やってダメだったら、べつにそれでいいんじゃないのって気がしますけど。それこそ人生っていうか。
いいですね。すごくいい。
うんうん。
やりたいことをやって、結果「金がない」とかどうとかっていうのは大した問題じゃない気がしますけど、僕は。
なるほどー。
「やりたいことをやらない」っていうのが失敗なんじゃないですか、人生においては。
うんうん。
うん。
……だいぶ市長の話からずれてきちゃいましたけど(笑)
すいません。私の相談になっちゃった(笑)
じゃあ、最後に責任をとって栃尾さんが市長にビシッと言ってください。
えーっ(笑)
お願いします!
はい。えーと、次の選挙とか考えず、失敗とか成功とか考えず勇気を出して、何かに特化した商店街をつくってください、って感じで。
おー、がんばれー!
はい。ということで、本日は以上です。ありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
*本ぺージは、2020年9月30日、ポッドキャスト「安田佳生のゲリラマーケティング」において配信された内容です。音声はこちらから
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