
はい。では、今回は60代以上の方からご質問いただいてます。毎週楽しく聴いています。私は典型的な地方都市に住んでいて、郊外の国道にはショッピングモールがあるものの、駅前商店街は寂れています。バブルの頃には駅前再開発で大きな商業施設ができましたが、そこのテナントはほとんど撤退しました。これから車を運転できなくなったら郊外に買い物にも行けず、駅前で飢え死にしそうです。うちの市長に知恵を貸してあげてください。よろしくお願いします。ということです。

えーっ、今年の夏ですか!?いつもは普通に外に出て仕事に行って、っていう生活が、いまは家で仕事をして、自分で自分の時間をつくり、っていう感じが。もう、なんかぜんぜん違うなっていう感じですかね。外に行って、人の下で仕事をして、自分の時間もつくれないまま終わるみたいな、「あー、だるい今日」みたいなのはあんまりないなっていうのが今年の夏ですね。

よく昔はですね、そういう「地方都市をこれから変えたい!」みたいな、まあ、会社を変えるのが僕の仕事ではあるんですけど、地方都市ってやっぱり同じように悩んでるんで、人口が減っていって、どんどん人がいなくなって、高齢化して、お店は閉じていく……「どうやって元気になるんだ?っていう講演をしてほしい」みたいな依頼がよくあって、昔は行ってたんですけど、行っても行っても変わらないんで、そういう仕事、もうやらなくなっちゃったんですけど、変えようと思ったら簡単なんですよ。

簡単ですよ。さっき金子さんがおっしゃってたように、何かに特化して思いっきりかたよった街をつくればいいんですよ。たとえば昆虫好きだけを集めた都市をつくるとか、お酒を一切飲まない商店街をつくるとか、いまだったらタバコを吸う人が肩身せまいんで、ヘビースモーカーだけの街をつくるとか、何でもいいんですよ。

どこ行っても地方都市って一緒で、ミニチュア版なんですよ、東京の。「Wi-Fiがあって便利ですよ」とかね。そうなってくると、「それだったら東京のほうがいいよな」とか「大都会がいいよな」ってなるわけですよ。だから、1,000人いたら過半数の人が「いい」と思う街にしようと思っていくと、だんだんだんだん都会に近づくのは当たり前な話であって、もっと、1,000人いたら30人40人の人が強烈に住みたいんだけど、残りの人にとってはまったく魅力ないっていう街を目指さないことには、誰からも選ばれないんですよ。普通のお店だったら当然なんですけど、外食店でも、「どんなお客さんでもウエルカム」みたいな店って結局誰も来なくなるんですよね。

たとえば、みんなでワイワイ騒ぎたい人もいれば、静かな雰囲気を味わいたい人もいるわけで、騒いだお客さん入れちゃったら静かな人は来なくなるし、「静かにしてください」って言ったら騒ぎたい人は来なくなるわけで、だから「ウエルカム」ってやっちゃうと誰も来なくなっちゃうわけですよね。

だから、お店でも「うちはこういうお客さんのための店ですよ」「静かに本を読むための店ですよ」とかってあるわけでですね、それをやるしかないんですよ。人に選んでもらおうと思ったら、人を選ぶしかないんです。結局、地方都市ってそれができないんですよ。

決断できないんじゃなくて、決断するプロセスがそういうふうにできてるんですよ。多くの方の意見を聞き、みんなが「NO」って言わないような、コンセンサスがとれたバランスのいいものになる。Aさんにとってはいい街だけど、BさんCさんにとってよくない街っていうのはOKがでないっていう仕組みなんですよ、民主主義で。

そう。そうやってみんなが少しずつ去っていくっていうのがいまの現状でして、商売に置き換えたら簡単なんですけども。だから、市長さんに必要なのは「知恵」じゃなくて「勇気」なんですよ。「自分は責任とってこれをやるかわりに、次の選挙では落ちてもいいし、みんなに恨まれてもいいんで、とにかくこの街を別の街に、活気のある街に変える」って、腹くくるしかないんですよ。やっぱり誰も責任とりたくないんで、公務員の方とか。

だから、仕組みもそうですけど、やっぱり決断……「決断じゃない」っておっしゃいましたけど、決断とか勇気みたいのはいるだろうなって、「失敗したら大変だし」みたいのは思うんですけど、どうなんでしょうか?

うーん、何をもって失敗かってことですよね。「失敗をしない」っていうことをずーっと突き詰めていくと、たとえば会社だったら、リスクをできるだけなくしていくと最終的には商品開発もできないし、新規営業もできないし、人も採用できないんで、必然的につぶれていくんですけども、同じだと思いますけどね。失敗をどんどんどんどんなくしていくと、最終的には失敗する以外なくなるっていうか。

いや、失敗のない人生なんていうのはないってことですよね。だから、たとえば甲子園を目指して甲子園に行けなかったことを「失敗」って言うのかどうかってことですよ。自分で独立して仕事やろうと思って、稼げなかったっていうことを「失敗」っていうふうに位置づけるっていうね。みんなそれを「失敗」って言うじゃないですか。
*本ぺージは、2020年9月30日、ポッドキャスト「安田佳生のゲリラマーケティング」において配信された内容です。音声はこちらから
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