// 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 // |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
《第61回》違いを持ったお店になるために
商売で成果を上げるためには「他社との差別化が重要だ」なんて言われます。
これは確かにその通りだと思います。
周りのお店と同じことをしていたら、自分のお店に来てもらう必要性がなくなってしまう。
だから差別化をすることで自分のお店に行きたくなる根拠を持つ必要がある訳です。
ただ私、同時にこうも思ったりするのです。
確かに差別化は大事だけど、問題なのは「どうやって差別化をするのか」という手段じゃないのかと。
《違いは作るものか?》
差別化という言葉を聞いた時、多くのオーナーは他社との違いを「作り出そう」としてしまいがちな気がします。
他社との差別化には違いが必要であり、だからその違いを作り出す。
この行為は一見、何の問題もないように思えるかも知れません。
でもよく考えると、ちょっとおかしいと思うのです。
なぜなら、他社との違いを作ろうとする行為は、自分の行動の根拠が他人に影響されているということだから。
これでは仮に他が違うことをしていたら自分の行動も変わってしまうことになりかねません。つまり、違いを「作ろう」とすればするほど、他人の行動が自分の行動に影響を与えることになる訳です。
そして私には、そんな他人と自分を見比べることでわざわざ作り出した違いが自分のお店の強みになるとはとても思えないのです。
《違いは生まれるもの》
じゃあ、他との差別化をするためにはどうしたら良いのか?
この問いに対する私の考え。
それが「他と違ったことをしようとするのではなく、自分のやりたいことに集中すること」。
私たちは「差別化」という言葉を聞くと、つい周りに目を向けてしまいがちです。でも、繁盛しているお店のオーナーを見ていると、彼らは周りのお店の動きを気にして自分の行動を変えたりはしていません。そのため自分のお店でやっている事が、結果的に他のお店と同じ行動になることもあるでしょう。
でも本当に大事なのは、その結果が他と同じものになったのか違うものになったのかではなく、その結果を招いた行動の根拠が「他人に影響されたもの」なのか、「自分の中から出てきたもの」なのかという違い。
他とは違ったことをしようと考えている限り、その行動の根拠は常に他人であり、他人に影響されるお店が強いお店になれることはないと言うこと。
私の考える差別化。
それは、自分を他と見比べるのではなく、自らがやりたいことに集中した結果、他との違いが生まれたもの。
そして、行動の根拠が常に自分にあるからこそ、他人に影響されることなくブレないお店作りが出来るのであり、ブレないからこそ結果的に他とは違った強みを持つお店になれるのだと私は思うのです。
他との違いを作ろうとするのではなく、自分のやりたいことに集中すること。
これが強いお店になるために欠かせない要素だと思います。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/