第125回 「原因の原因」に商売のヒントあり

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

数ヶ月前から、私はある映像加工ソフトの勉強を始めました。
その勉強に活用したのがYoutube動画。
動画での勉強は非常に効率がよく、短期間でかなりの映像加工ができるようになりました。

ただ、勉強をしている途中でふと、こんな事に気がついたのです。
「Youtube内の動画と同じ加工はできるようになったけど、自分のオリジナル映像は全く作れるようになっていない」と。


同じ映像は作れるにも関わらず、自分のオリジナルは作れない。
なぜ、このような現象が起きるのか?

それは、制作をする過程は動画を見れば真似できるものの「なぜその過程を経る必要があるのか?」という「過程を作り出した人の思考」が理解できていないからです。

これは何も私の映像制作だけに限った話ではなく、商売にも同じようなことが言えるのではないでしょうか。

私たちは繁盛しているお店をみて、つい「あのお店は何をやっているんだろう?」と考えてしまいがちです。これは繁盛という結果を生み出している過程を真似すれば、自分も同じ結果が得られると考えているからだと思います。

ただ、商売においては、たとえ同じ過程を経たとしても同じ結果にはなりません。なぜなら、繁盛という結果はそのお店が持つ様々な要因が複雑に絡み合って生み出されたものであり、どれか一つの要因だけを真似できたとしても、それは結果を生み出すほんの一要素を真似したに過ぎないからです。

では、私たちが自分の商売を繁盛させるために考えるべき事とは何なのか?

その答えこそが、私の映像制作と同様に「過程を作り出した人の思考」を理解しようとすることであり、思考を理解するからこそ応用も効かせることができ、オリジナルも作れるようになるということ。

逆に言うなら、思考を理解しようとしない限り、どんなに見た目の真似はできたとしても応用を効かせることはできず、自分のお店ならではの繁盛する過程を作り出すことはできないということ。

「何をやったのか」よりも「なぜそれをやったのか」を考える。
過程そのものよりも、その過程を生み出した思考に注目する。

私たちは「何をやったのか」という過程が、繁盛という結果の原因であると捉えてしまいがちです。

ただ、「何をやったのか」という原因は、同時に「なぜそれをやったのか」という思考の原因から生み出された結果でもある以上、本当のヒントは「原因を生み出した原因」である思考にこそあり、その思考を理解できた時、私たちは初めて自分ならではのオリジナルな映像制作や繁盛方法を手に入れることができるのだと思います。

 

 著者の他の記事を見る

著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

感想・著者への質問はこちらから