原因はいつも後付け 第72回「『すぐに』という思考」

 // 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

《第72回》「すぐに」という思考

「すぐに成果が出る方法を知りたい」
これは起業してからしばらくの間、私が考えていたことです。

売上は期待したほど上がらない。
かと言って、集客に投じる資金もない。

つまり、私は「お金を使わず、すぐに成果が出る方法」を知りたかった訳です。
言葉にすると、何とも都合の良いことばかりを期待しているように思えるかも知れません。

でも、こうした考え方をしてしまうのは、開業時の私だけではないような気がするのです。


「すぐに成果が出る方法が知りたい」

今から振り返って思う、当時の私がこうした思考をしてしまっていたことの問題点。
それは、この問いに答えがあるとするなら、それは他の人にとってもすぐに真似できる方法だということ。

つまり、「すぐに」を求めれば求めるほど、誰でもできる選択しか選べなくなっていってしまう訳であり、誰でも選べる選択ということは、それだけ競争も激しく、結果的に成果から遠ざかることになってしまうのです。

じゃあ、私たち店舗オーナーが取るべき選択肢は何なのか?

私が考えるその答え。
それが、「すぐに」という思考を止めること。

「すぐに」を求めるから誰でもできる選択しか選べず、誰でもできる選択しか選べないから成果が出ないということ。

これは逆に考えるなら、長期で成果を求めるから、多くの人がやらない選択を選べるのであり、多くの人がやらない選択を選ぶから成果が出るのだということです。

大手が「お金」という投資で成果を得ているとするなら、私たち店舗オーナーが力を注ぐべきなのは「期間」という投資で成果を得る努力をすることではないでしょうか。

今から振り返って考えると、つくづく思うのです。
「すぐに」という答えを探し続けていたからこそ、いつまで経っても成果が出なかったのであり、「すぐに」という思考こそが失敗の始まりなのだと。

ややこしい話ですが、「すぐに」という思考こそ、すぐに止めるべきなのだと今では思うのです。

 

 

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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