// 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 // |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
商売で何か新しいアイデアを捻り出す必要がある時、私はなるべく他社の情報を入れずに自分の頭で考えるように意識しています。
とは言っても、斬新なアイデアがそんなに頻繁に湧いてくるはずもなく、結果的にせっかく考えたアイデアが他社と同じようなものだったなんていうこともある訳です。
自分が考えたアイデアと他社が既にやっているアイデア。
この2つが同じなのだしたら、自分で考えるよりも先に他社の情報を調べ、それを真似した方が自分の時間を無駄にすることもなく、手っ取り早いのかも知れません。
ただ、それでも私が自分で考えるのは、例え出てきたアイデアが同じだったとしても、自分で考えたアイデアと他社を真似したアイデアでは成果が異なると思っているからです。
「同じアイデアでも成果は異なる」
私がこう考える理由。
それは成果を決める「原因」は、アイデアという結果ではなく、その結果に至るまでの「過程」にこそあると思うからです。
自分で考えたアイデア。
そこには仮説を考えるきっかけになった自らの経験や、商売に対する考え方があり、そういった要素をどのように表現すれば成果に結びつくのかを考えるという過程を経てたどり着く結果です。
一方、他社を真似したアイデアにあるのは結果という形だけであり、自分で考えるという過程を経ていないアイデアは、アイデア自体に対する確信も持ちづらく、確信を持てないアイデアは成果が出るまで続けることは難しいと思うのです。
同じアイデアならば、他社を真似した方が手っ取り早い。
確かにアイデアを形にするまでがゴールであるならば、これで良いのかも知れません。
ただ私たちが商売する上でアイデアを形にするのは、成果を上げるための手段でしかなく、成果を上げるために必要なのは、アイデアが成果に結びつくまで試行錯誤をし続ける粘り強さだと思うのです。
自分で考えたという過程のあるアイデアだからこそしつこく粘れるのであり、しつこく粘るからこそ成果にたどり着けるのだということ。
過程のないアイデアでは粘ることができず、粘れないアイデアをいくつ試したとしても成果を手にすることはできないのだということ。
手っ取り早く他人のアイデアを真似して時間の得をしたと感じたとしても、結果的にはそれが一番の遠回りになってしまうと私は思うのです。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/