この記事について
税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。
ご存じだと思いますが、ZOZOの株価がガーッと下がりまして。
はい。ニュースで見ました。
「ZOZOSUIT」が失敗だったのと、剛力彩芽さんを彼女にしたことでも世間を敵に回しまして。
有名人は大変ですよね(笑)
で、持ってる絵を売りに出したんですけど。
「会社の資金繰りに困ってるんじゃないか」とか言われてますよね。
はい。でも前澤さんは「お年玉企画をまたやるため」と言ってます。
そうじゃないですか。資金繰りに困ってるようには見えないですもん。
確かに、当初予定より下がったとは言え、何百億という黒字ですし、資金繰りに困るはずないですよね。
はい。あれは世間のやっかみですよ。
「どんどんスポンサー離れていって大変だ」って言う人もいますけど、「結局プラットフォームが勝つだろう」みたいに言う人もいて。どっちだと思います?
私はプラットフォームが勝つと思ってます。
いろんな有名アパレル企業も、離れていきましたけど。
あれは、かなり経営判断をミスってる可能性がありますよね。
離れていった会社の経営判断ミスだと。
「トイザらス」もAmazonから出ていって、経営破綻してるじゃないですか。
そうなんですか?
はい。
値引きサービスの「ZOZOARIGATO」ってあったじゃないですか。
ありましたね。問題になったやつ。
私も会員だったんですけど、途中で「お金返すからストップ」となっちゃいまして。
はい。やめちゃいましたね。
あれは「会員が離れていったから、やめざるをえなくなった」って言われてますけど。
それも多少はあるんじゃないですか。
でもプラットフォームが本当に強いんだったら、「黙れ!」みたいな感じで強引にやってもいいと思うんですけど。
いくら強くても全部抜けたら、さすがに商売が成り立たない。プラットフォーマーじゃなくなっちゃうので。
そりゃそうですね。
ぎりぎりのラインは保ちつつ、という判断で回避したんじゃないかと思います。
じつは「踏み絵」だったんじゃないかとも言われてまして。
踏み絵ですか?
「いずれ出て行くやつは、もう今出ていけ」みたいな。
いや、それはないでしょう。さすがに。
次はビームスやリーバイスと組んで、何百サイズもある商品をつくるみたいですよ。そういう意味ではZOZOSUITも失敗とは言えない。
私には着実に前に進んでいるように見えます。そもそも、ひとつのブランドしか着ないっていうのは、今の若い人の感覚ではない。
ですよね。たくさんのブランドがあるZOZOは、やっぱり魅力ですよ。
反対に言うと、1社ぐらい抜けたところで大した問題ではない。
ですよね。
結局、サイズデータをどれだけ収集できるかが、このビジネスの根幹。そう考えるとやっぱり最後はZOZOが勝つ。
じゃあZOZOSUITは、売上は思ったほどいかなかったけど、失敗とは言えないと。
言えないんじゃないですかね。Amazonも最初はずっと赤字で、散々叩かれたじゃないですか。
そうでしたね。それが今やAmazonに嫌われたら小売やっていけないぐらいになってる。
ネットでの注文のしやすさって、服や靴の場合はやっぱりサイズですよ。
Amazonとか楽天とかでも服は売ってますけど。アパレルに関しては「圧倒的にZOZOが使いやすい」ってみんな言います。
私も百貨店にいたのでよく分かりますけど、メーカーごとに「M」っていってもサイズ感ぜんぜん違うんですよ。
ですよね。ホントぜんぜん違う。
合うか合わないかは、昔は店員がその人の体つきとかを見てやってたんです。
「このブランドはあなただったらLです」みたいな。
それをデータで出来ちゃう。「こういう筋肉質の人は向かない」とか。
そうなって来てますよね。
はい。ZOZOはAmazonや楽天とは異質のプラットフォームなんですよ。
どこが異質なんですか?
サイズの細かいところまで把握してる。そんなとこ他にないじゃないですか。
メーカーごとにサイズを、ひとつひとつ測ってるらしいですよ。
そうです。そういう細かいことを全部やってる。
4つ5つのブランドを買って、いっぺんに送料を払えるっても、かなり優位性高いような気がするんですけど。
いやぁ、高いですよ。
それぞれのブランドが独立してサイトをつくると、買う方は結構大変ですもん。
消費者から見たら、絶対にプラットフォームで買う方がいいんですよ。
じゃあ自社のECサイトをつくるという流れは、失敗しますか。
言いにくいですけど、やっぱり失敗じゃないですかね。
独自のECサイトはつくらない方がいい?
いや、つくってもいいんですけど、巨大なプラットフォームからこのタイミングで抜けるのは間違ってると思います。
抜けちゃった有名アパレルって、他社よりもいい条件で取引してたみたいです。
そう。かなり破格の条件だったみたいです。
なんで抜けたんですか?「値引きは看過できない」って言ってましたけど。本当は月に行ったり、剛力彩芽と付き合ったのが腹立たしかったんでしょうか?
ブランドが毀損すると思ったんでしょうね。月とか彼女は関係なと思いますよ(笑)
でも「前澤さんが出すぎて株価が下がった」とか「みんなに嫌われて売上が毀損した」とかメディアでは言われてますけど。
そういう意見もありますけど、私はどう考えてもメリットの方が大きいと思います。
ですよね。テレビCMをガンガンやってた費用とか考えたら、多少社長が嫌われてもすごく知名度が上がったので。
ツイッターのフォロワーも、いま1番ぐらいまでいったんですよね、あれで。
一時期600万人まで行きました。
もう自分のメディアを持ってるみたいなもんですよ。
しかも広告費のいらないメディアですからね。どうして新聞やテレビは失敗であるかのように叩くんでしょうか。不思議でしょうがないんですけど。
やっぱり「人の不幸は蜜の味」だから。
叩いたほうが視聴率上がるってことですか?
上がるからじゃないですかね。
そこまでしますか?
だって RIZAPがうまくいってないこととかも、すごく楽しそうに書くじゃないですか。ああいうのが好きなんですよマスメディアって。
じゃあ、久野さんの予想としては、「ZOZOは独り勝ちするんじゃないか」っていうことですか?
私はそう思いますね。いろんな人を敵に回しそうですけど。
「日本の大手アパレルは太刀打ちできない」と。
チャンスは何回もあったのに、そこを生かせず今まで来てしまってるので。今さらZOZOに謀反を起こしてもちょっと厳しい。
久野勝也
(くの まさや)
社会保険労務士法人とうかい 代表
人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。
事務所HP https://www.tokai-sr.jp/
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。