「終わってるのは誰?」さよなら採用ビジネス 第123回

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第122回「耐えられないのは誰?」

 第123回「終わってるのは誰?」 


安田

レオパレスさんがいい加減なマンションをつくってた話。

石塚

かなり前から問題になってたんですよ。まあ建築会社というより営業会社ですから。

安田

部屋を借りた人が「壁がものすごく薄い」と言ってました。今回の決算では118億円の債務超過になってるそうです。

石塚

もう風前の灯火だと思いますよ。

安田

再建は厳しいですか。

石塚

時間の問題だと思います。これ、銀行が見放したら終わりでしょ。

安田

そもそも、どういう会社なんですか?レオパレスって。

石塚

「不誠実な」営業会社。

安田

不誠実な営業会社?もうちょい詳しく教えてください。

石塚

要するに住む人のことを考えないし、すべてをお金で割り切ってる会社ですね。だからサービスのスパンがとても短い。「建てる」「売る」「終わり」みたいな。

安田

すごいですね(笑)「できるだけ金かけずに済むところはかけない」ってことですか。

石塚

そういうことです。

安田

部屋を借りた人は快適じゃないからクレームが出る。オーナーさんは入居者が減って儲からなくなる。

石塚

そういう状況ですね。あそこの法務は相当強いと思う。

安田

法務が強い?

石塚

オーナーといろんな紛争がありますから。たくさん弁護士を使って幾重にも法務を充実させてる。逆にいうと、それだけやましいというか、スレスレのことをやってるってこと。

安田

なるほど。

石塚

某コンビニだってそうじゃないですか。

安田

某コンビニ?

石塚

法務の、あのディフェンスラインの鉄壁さ、契約書の用意周到さっていったら。

安田

コンビニはFCとのトラブルが多いですからね。

石塚

だから「そこには力を入れてるけど・・・」って感じで。

安田

オーナーさんは、なぜレオパレスを選ぶんですか。こんなに評判悪いのに。

石塚

内情を知らないから。

安田

全国どこでもレオパレスのマンションが建ってますからね。大きい会社=有名な会社=信頼できる会社って感じでしょうか。

石塚

その通りです。

安田

とは言え、営業力だけではここまで大きくならないでしょ。

石塚

いや、それが真実です。数百億レベルまでの売上ってのは、営業力の強さだけで押し切れる。

安田

そうなんですか!

石塚

とくに今は全国的に営業力の強い会社が減ってきてるから。とにかく営業力でオーナーを獲得していけば、ある程度までは伸ばせる。

安田

へえ〜。

石塚

もちろん短期的にはですよ。たぶんこの会社は100年200年先のことなんて考えてないと思います。

安田

売り切って、儲けて、それで終わりってことですか。

石塚

はい。売り切って終わりだと思います。べつに思想もなければ、社会貢献なんてこれっぽっちも考えてない。

安田

すごい割り切りですね(笑)

石塚

「いいじゃんべつに。買ったオーナーもいい思いしてるんだから。それでウチが儲けて何が悪いんだよ」って。

安田

すごいですね。

石塚

「業績もいいし、上場企業としての役割も果たしてるじゃないか!」って。

安田

逆に、なぜ駄目になったんですか?

石塚

やっぱり不動産って長いじゃないですか。

安田

どういう意味ですか。

石塚

仮に短期で住まう人のための住宅でも、オーナーとの関係は少なくとも30年ぐらい続く。

安田

それは当然続きますよね。

石塚

建物をつくるってことは、ある程度先を見越した先見性や思想ってものがないと駄目なんですよ。

安田

そりゃそうです。

石塚

不動産業界っていうのは、戦後幾多もこの手の会社が現れてはつぶれ、現れてはつぶれ、その連続なんですよ。

安田

みなさん懲りないんですね。不動産って大きな買い物なのに、怪しい会社に頼んじゃうわけですか。

石塚

歴史をひもとくと、財閥系以外の不動産会社ってのはすべて倒産する運命になってるんですよ。

安田

そうなんですか!

石塚

そうなんです。バブルのときの独立系不動産会社って、名前は出せないけどみんな逝っちゃったじゃないですか。

安田

たしかに。

石塚

2005年ぐらいに、「U・S・A」って言われた不動産投資系3社なんかもみーんな逝っちゃった。財閥系以外の不動産デベロッパーは結局倒産するようになってるんです。

安田

でもレオパレスって、けっこう続いてる気がするんですけど。

石塚

いやいや。べつに歴史がものすごく長いわけじゃないです。社業100年ってところと比べれば“ポッと出”ですよ。

安田

じゃあ今ごろ経営陣は「どうやって畳んで、うまく抜けようか」って感じ?

石塚

そう思います。「どこで売り抜けようか、どこで儲けを取って終わりにしようか」って考えてるだろうし、たぶんもう画策してる。

安田

へぇ~。

石塚

公共性の高いものをやってる割には、オーナーは自分の収益とか資産のことしか考えてない。だから尊敬されない。

安田

キャバクラではモテそうですけど(笑)マンションのオーナーだって言えば。

石塚

安田さんもよく言いますけど「長いスパンで考えないと、これからはだめ」ってこと。

安田

石塚さんから見たら、レオパレスで家を建てたオーナーさんも問題ありって感じですか?

石塚

ありますね。日本の地主さんや不動産オーナーって、たぶん世界でいちばん不勉強な人たちだと思う。

安田

へぇ~。

石塚

だって昔から「平日にゴルフやろう。ひとり足りないぞ」ってなったとき、「不動産オーナーとか大家に電話すれば必ずつかまる」って有名な話ですよね。

安田

そうなんですか。

石塚

まあ時代もかなり変わって、勉強されてるオーナーさんや、熱心に研究されているオーナーさんも増えて来ました。ただ、まだまだ少数派です。

安田

石塚さんの予想では最後はどうなりますか。レオパレスは上場廃止?それとも解散?

石塚

たぶんボロボロになったところを、どこか買うんでしょうね。

安田

買う人がいるんですか?

石塚

買うでしょ。だって、あれだけのものがあるから。ゼロからつくるよりはいい。

安田

でも赤字ですよ。

石塚

レオパレスもぜんぶがぜんぶ赤字じゃない。機能してる物件もある。「そこだけもらいます。それをこの価格で買えるんだったらいい買い物だ」ってなります。

安田

じゃあ、赤字物件を抱えてるオーナーさんはどうなるんですか?

石塚

もう終わりです。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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