第149回「家電で負け、金融で負けた、その先は?」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第148回「国を変えるお祭り」

 第149回「家電で負け、金融で負けた、その先は?」 


安田

野村證券とみずほが、海外ファンドで数百億単位の損失を出したそうです。

石塚

アルケゴスでしたっけ。米国の投資ファンドですよね。

安田

詳しくは知らないんですけど。海外の金融大手は、損失が出る前にうまいこと逃げちゃったそうで。

石塚

いいように騙されたんでしょうね。

安田

騙されたんですか?野村證券って、生き馬の目を抜くようなイメージですけど。

石塚

いやいや。日本の金融機関って世界的に見てレベルが低いんですよ。

安田

でもお金を動かすプロ中のプロですよね。投資が下手だったら話にならない。

石塚

そうですけど。レベルは低いです。とくに野村は。

安田

みずほはどうですか?安定志向の人たちが集まってるイメージですけど。

石塚

そう思います。

安田

なぜこんな投資をしちゃったんでしょう。

石塚

まあヘタなんでしょうね。能力がないんだと思う。

安田

だったらそんなリスキーなものに手を出さなきゃいいのに。

石塚

下手だから出しちゃうんですよ。下手だから騙される。

安田

なるほど。

石塚

目論見を聞いて「あ、なんかよさそうだな」と。

安田

なんか軽いですね。千億単位の投資なのに。

石塚

自分のお金じゃないし。

安田

海外の金融機関はすごいですよ。損を出す前にいち早く撤収して。日本の大企業だけが残されちゃった。

石塚

優秀な人ほど外資金融に行きますから。

安田

昔はそうじゃなかったですよね。

石塚

いえ、そもそも野村ってあまり優秀な人がいない。そのうえ意思決定がすごく遅い。

安田

スピード感がありそうな仕事ですけど。株の売買がメイン業務だし。

石塚

野村のメインは投資銀行業務です。株の売買は割合が少ない。

安田

そうなんですか。

石塚

要するにインベストメントバンクとして、あらゆる投資をして利ザヤを取るってことをやってます。今はもう金融がバーチャル化してまして。

安田

実体経済の100倍とか言われてますよね。

石塚

ありとあらゆるものが組み込まれて、ありとあらゆるものを売り買いして。それが今行われているAI×金融工学の世界。

安田

ソフトバンクも兆単位の浮き沈みですもんね。実業より金融で儲けてる感じ。日本を代表する会社が投資会社になっちゃってる。

石塚

本業だけではもう成り立たないんです。

安田

みずほも同じですか。

石塚

もう、だいぶ前からそうなってます。

安田

日本の銀行って、もっと手堅いイメージでしたけど。

石塚

一応銀行法というのがあって、有り金ぜんぶを投資に突っ込んじゃいけない。だから融資の利ザヤを取るってこともやってます。

安田

それだけではしんどいと。

石塚

もう無理でしょうね。実質は投資銀行業務がメインですよ。

安田

このレベルの投資って世界の猛者と戦うわけでしょ。

石塚

おっしゃる通り。

安田

勝てるんでしょうか。

石塚

勝てないと思います。ずっと「国策で守られている」状態でしたから。たぶんどこかの傘下になって終わりです。

安田

だけど他に選択肢がない?

石塚

おっしゃる通り。選択肢がないんですよ。

安田

イチかバチかみたいな。

石塚

さすがに全掛けしてるってことはないと思う。今回は焦げちゃったんでしょうけど。ポートフォリオでいろんなものを取り込んでるとは思います。

安田

じゃあこの程度は織り込み済みですか。

石塚

いやいや(笑)もうちょっとマシな負け方なかったの?って感じです。あまりにも負け方がイージーすぎる。

安田

イージーすぎる?

石塚

プロだったら「おい、これはちょっとおかしいぞ」「チャイナ系がやってるあれ、うさんくさくねーか?」「ちょっと洗ってみろ」みたいなのがもっとあってもよかった。

安田

素直すぎたってことですか。

石塚

要するに投資のセンスがないんですよ。

安田

やっぱり日本はものづくりのセンスで勝負したほうがいい?

石塚

ものづくりだって投資ですからね。いかに効率よくコストを抑えていいものをつくっていくか。

安田

確かに。

石塚

投資が下手な企業はもう生き残っていけないです。

安田

そうなると日本企業が生き残るイメージがわかないですね。

石塚

分野によると思います。金融は無理だと思いますけど。

安田

ですよね。

石塚

はい。金融は絶対に無理です。

安田

家電はもう負けちゃったし。

石塚

家電も旗色が悪い(笑)

安田

ITもかなり出遅れてるじゃないですか。

石塚

うーん、分野にもよるけど。まあ総じて旗色が悪いですよね。

安田

世界的なIT企業ってほぼアメリカですし。新しく出てきてるのは中国ですし。

石塚

自動車はまだいけますかね。

安田

EVになって、エンジンがなくなっちゃったら、日本のお家芸ではなくなっちゃう可能性もありますよ。

石塚

EVに供給してる半導体とか部品とかは、優秀な会社がまだいっぱいあります。

安田

シャープも結局は台湾企業に買われちゃったじゃないですか。

石塚

家電メーカーは厳しいです。

安田

日本の大企業って、最終的には外資傘下にならざるを得ないんじゃないかって気がします。

石塚

じっさいにはそうなってますね。

安田

家電以外もどんどんそうなっていきますか。

石塚

はい。楽天が中国のテンセントから出資を受けて、今もめてるじゃないですか。

安田

情報漏洩の危険があるとか言われて。

石塚

あれが象徴的な話ですね。そうならざるを得ないんですよ。

安田

外資に頼らざるを得ないと。

石塚

全部が全部っていうわけじゃないですけど。世界的にシェアを持ってたり、すごく強い領域もあるから。

安田

生き残る会社もある?

石塚

ニッチな分野は残るでしょうね。だけどグローバル化するなら、規模の大きいところの傘下に入らざるを得ない。それが資本の論理だから大企業ほど厳しいと思います。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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