この記事について
2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
前回は 第302回「それでも初任給30万円払いますか」
第303回「餃子の王将という会社」
安田
餃子の王将には「大阪王将」と「餃子の王将」があるそうですね。
石塚
はい。社長も違いますし、ビジネスモデルも全く違います。
安田
石塚
安田
目の前で調理してました。出来たての炒飯とか餃子が出てきて。
石塚
安田
「餃子の王将」は値上げしても客離れしないそうですね。売り上げ、利益ともに順調だそうで。なぜ値上げしてもお客さんが離れないんでしょう。
石塚
安田
石塚
安田
石塚
客が離れないってことは、単純にその値段にしてはうまいんだと思う。
安田
値上げして社員の給料を平均3万9000円上げるみたいです。平均で3万9000円って相当すごいですけど。
石塚
この会社は昔から直営店にこだわっていて、店長の育成にも半端ない情熱をかけてます。
安田
そうなんですね。知りませんでした。FCかと思ってました。
石塚
いまだに犯人が捕まってないけど、社長の大東さんという方が射殺されたじゃないですか。
安田
ありましたね。そういう事件が。あれは餃子の王将の社長ですか。
石塚
そう。餃子の王将の社長です。大東さんっていう人はものすごくカリスマ性があって。全店長からすごく人望があった人です。
安田
石塚
この会社は一致団結力がすごくて、餃子というメインコンテンツも直営で作るし、料理人が現場で実際に鍋を振るし、料理にこだわってます。形としてはロイヤルホストと一緒。
安田
なるほど。手作りにこだわった味なんですね。ロイヤルホストも美味しいですもんね。
石塚
美味しいです。だから少々値上げしても客が離れない。「原材料費が上がりました」って今は割と値上げしやすい環境じゃないですか。
安田
今がチャンスですよね。でも直営だとコロナの時は大変だったでしょうね。
石塚
意外と追い風もあって。コロナでテイクアウト需要が増えたじゃないですか。餃子のテイクアウトマーケットが広がったんですよ。
安田
確かに。唐揚げや餃子のテイクアウトが増えましたよね。
石塚
美味しいし、店でも食べられるし、持っても帰れる。餃子を30個買って家族で食べようってこともできるじゃないですか。
安田
それにしても業績がいいですよね。売上が1000億を超えていて。じつは餃子の王将って上場企業らしいですね。
石塚
安田
石塚
まさにそこがビジネスコアですね。店舗によってメニューが違ったり。人が作ってるから差があるんですよ。すぐ近くにあっても混み具合が違う。
安田
店長が辞めちゃったりしないんですか?他社から引き抜かれるとか。
石塚
餃子の王将は昔から店長の採用ターゲットがしっかりしてるんですよ。
安田
石塚さんがいつも言うプロファイリングですね。ちなみにどんなターゲットですか?
石塚
元やんちゃボーイです。昔はちょっとやんちゃしてたけど、その分エネルギー量は大きい。子分とか下にいる人間を守る意識も強い。
安田
石塚
上下関係がしっかりしていて、尊敬できる兄貴、先輩には死ぬまでついていく。大東さんはそのトップにいたわけですよ。
安田
つまり餃子の王将がうまくいっている要因はリクルーティングにあるってことですね。
石塚
そうです。ここは昔からそこがブレない。研修もすごく力を入れてやっていて。
安田
石塚
ほとんど中途ですね。アルバイトで店長に可愛がってもらって社員まで引っ張ってもらった人とか。労働分配率も昔から高い。気風のいい親分だから「死ぬまでついていきます」みたいなカルチャー。嘘はつかないし、味には誠実だから、料理もいいもの作ります。
安田
石塚
本社には非常に優秀な人材がいて経営戦略もすごく卓越しています。社長がお亡くなりになってもカルチャーはしっかり引き継がれてるし。合う人には、ほんといい会社ですよ。
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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。