第358回「飲食チェーンから人間が消える日」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第357回「賞与を給与化する狙い」

 第358回「飲食チェーンから人間が消える日」 


石塚

安田さんはガストとか行きませんか? 

安田

行かないですね。

石塚

同じすかいらーくグループのジョナサンはどうですか?

安田

行かないです。

石塚

だったらご存知ないかもしれませんが、ガストやジョナサンはロボットがお膳をお運びしてるんですよ。独特の音楽が鳴って。

安田

え!ロボットが配膳するんですか。

石塚

テーブルまで持ってくるんです。いわゆるウェイター、ウエイトレスと言われる人がほとんどフロアにいない。

安田

なんと。

石塚

まず入口で「自由に空いている席へどうぞ」って通される。で、どっかボックス席に座るじゃないですか。

安田

はい。

石塚

そしたら次はipadみたいなタッチパネルで注文する。で、注文が飛んでしばらくしたら、ロボットが音楽に乗って来るんですよ。

安田

ロボットが注文した食事を運んでくるんですか。

石塚

ネコ型のロボットが運んでくるんです。

安田

面白そう。じゃあ人間は席に案内するだけ?

石塚

案内もしない。受付に人がいても「空いているところにどうぞ」です。

安田

ああ、だから高齢者でも受付が出来るってことなんですね。

石塚

そうなんですよ。体力も要らないし。そもそも若い子は採れないので。だからホールにはほんと人がいない。

安田

お客さんはそれで大丈夫なんですか?

石塚

最初ちょっとだけ違和感があるんだけど2回目からは慣れちゃって。まあこんなもんだろうなと。実はこのロボットが高校生に大人気で。

安田

わかります。子供が喜びそう。

石塚

慣れちゃうとかえって人間がやるより良くて。

安田

人間だと気を使いますよね。ちょっと呼ぶにも。

石塚

そうなんですよ。ロボットが運んできたものを自分で取ってテーブルに乗せる。取り終わると勝手に帰っていくんです。

安田

人間は受付に1人いるだけですか?

石塚

いても1人だけで。お客さんが来た時にだけ出て来ます。センサーでピンポンって鳴って。そしたら出てきて「お好きな席にどうぞ」って。

安田

いずれはそこも無人化されそうですね。

石塚

回転寿司なんかはすでに無人化しています。唯一人間が必要なのは厨房なんですけど。厨房もかなり自動化していますね。

安田

いずれは人間が一人もいなくなるんでしょうか?

石塚

限りなく無人に近づくでしょうね。もう全部アプリと連動させて。席の予約から、案内から、全部スマホでやる感じ。

安田

食い逃げとかされなんでしょうか?

石塚

やろうと思えばできるでしょうね。だから先にクレジットカードを登録させるとか。カード登録しないと注文出来ないようにして。

安田

大手飲食チェーンほど人がいなくなっていきそう。個人店に行かないと人間のサービスは受けられなくなるかも。

石塚

個人店は人間を使ってどう付加価値をつけていくのか。そこが肝ですよ。

安田

人間がやると高くなってしまいますからね。

石塚

そうなんですよ。だから人間を使ってブランド化していくしかない。

安田

ロボットではできないサービスやコミュニケーションを売りにするってことですね。

石塚

はい。ただそうなっていくと、やる気のないアルバイトは仕事がなくなるでしょうね。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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