地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第25回 値段が2倍になっても、3倍売れる「クロックムッシュ」の秘密

スギタベーカリーさんでは「1年に1度必ず値上げする」ことを決めていらっしゃるということですが、何度値上げをしても売れ続けている商品があるんだとか。

食パンは定番商品なので、売り切れてしまわないよう焼き続けておく必要があるんですね。逆に言えばどうしても「売れ残り」が発生する。それを翌日にリメイクして出すんですけど、そういうものを「再生パン」と呼んでいます。

仰るとおりです。カスタード液につけて焼けばフレンチトーストになるし、ピザソースを塗って具材をのせて焼けばピザトーストになる。クロックムッシュは、ホワイトソースを塗った上にハムとチーズを載せてサンドして、さらに上からホワイトソースとチーズを塗って焼いたものですね。

フランスです。もっともフランスでは「カンパーニュ」というフランスパンの一種で作るのが主流なんですけどね。

そうですそうです。食パンほど水分量が多くないから、ちょっとパサつく食感ですね。フランスではそのパンを薄くスライスしてクロックマダムを作るんです。クロックマダムというのは、クロックムッシュに卵をのせて焼いたもので。

そうなんですよ。一方のクロックムッシュは、チーズの種類を変えるだけで焼き色の付き方が大きく変わるので、見た目がどんどん美味しそうになる。しかも窯から出してすぐに半分に切ると、ホワイトソースやチーズがトロッと溢れ出てくるのがお客様にも見えるわけで…
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。