第127回 外国人の不動産売買に、規制は必要なのか

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第127回 外国人の不動産売買に、規制は必要なのか

安田
最近、外国人が日本の不動産を買い占めているって話を聞きますよね。鈴木さんも『相続不動産テラス』でいろんな物件を見ていらっしゃると思いますけど、外国人の不動産取得は規制すべきだと思われます?

鈴木
うーん…個人的には、規制を強める必要はないんじゃないかと思っていますね。
安田
ほう、それはどうして?

鈴木
そもそも大事なのは「誰が」「何のために」買うかってことなんじゃないかなと。要は売る相手をきちんと選べばいいだけで、それが外国人か日本人かは関係ないのでは、と思っているわけです。
安田
なるほどなるほど。逆に言えば、日本人だとしても悪質な「転売ヤー」みたいな人に売るのはダメだと。ともあれ、東京都内の土地の値段がすごく上がっていて、都内でマンションを買おうとすると1億円が最低ラインで。

鈴木
へ〜! そりゃすごい(笑)。
安田
しかも5億、6億の高層マンションもバンバン建っていて、そんなところ普通の日本人には当然手が届かない。外国のお金持ちしか買えないわけで、「そのうち東京には日本人が住めなくなるんじゃないか」って言われているくらいなんですって。

鈴木
う〜ん、でもこういう状況はあまり長くは続かないと思いますよ。今は不動産価値がバブル的に上がっているだけで、そのうち落ち着く気がします。
安田
ああ、確かに。実際、未だに値段が上がり続けているのは山手線内だけで、それ以外は徐々に落ち着いてきているみたいです。

鈴木
でしょ? というか、よくメディアは「外国人に買い占められると、日本人はどんどん貧しくなる」なんて悲観的な報道ばかりしますけど、そもそも「買う人」がいるということは、「売る人」もいるということを忘れちゃいけない。
安田
確かに! 売ってる側は儲かっているわけですもんね。

鈴木
そうそう(笑)。ニュースにならないだけで、ちゃんと恩恵を受けている人はいるんですよ。メディアは悲惨な話の方が話題になるから、そっちを多く報道しているだけなんです(笑)。
安田
言われてみれば私の周りにもいますね。東京の都心部に土地を持っていた人が、高層マンションが建って潤ってる。「私、お金持ってます」なんて言わないだけで、しっかり豊かになっている日本人も多いんでしょう。

鈴木
そうそう、潤っている日本人は大勢いるんです。
安田
そういう意味で言えば、日本はいま外国人にとって「投資したい」と思われている国だってことですもんね。それ自体は決して悪いことではない気がします。

鈴木
それだけ日本に魅力があるということですからね。どこでも住みやすいし、水道水も安全に飲める。さらに海外とは比べ物にならないほど治安もいい。
安田
そうか。日本にずっといるとなかなか自覚できませんが、いまは世界的に「セキュリティ」が投資対象になっているわけですもんね。それがほとんどタダで手に入る国なんて、日本くらいしかない。

鈴木
そうそう。そういう目的で日本に不動産を買う方も多いんだと思いますよ。
安田
ちなみに最近は移民問題も話題になっていますけど、鈴木さんはどういうスタンスですか?

鈴木
うーん、それについても僕はガチガチな規制をする必要はないと思ってます。もちろん危険な人物を入国させたり、そういう人に不動産を売ったりすることは避けなきゃいけないですけど、そうじゃないならもっと寛容になってもいいんじゃないかなぁ。
安田
ああ、同感です。日本でビジネスをしたり文化を学んだりしたいと思ってくれる外国人なら、むしろ大事にしていった方がいいですよね。

鈴木
そうそう。もしかするとそういう外国人の中から、日本の伝統文化を継承したいっていう人も出てくるかもしれないし。
安田
確かに確かに。今後の日本のことを思うと、外国人に対しては基本的にウェルカムな姿勢でいたほうが良さそうですね。

 


対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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