第66回 「お墓問題」をすべて解消するかもしれない「永代供養」

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第66回 「お墓問題」をすべて解消するかもしれない「永代供養」

安田
今日は「お墓」について深掘りしていきたいなと。というのも、私は子どもに苦労をかけたくないので、お墓は作って欲しくなくて。

鈴木
そういう方、増えていますね。お墓の管理も大変ですし、ゆくゆくは墓じまいの問題もありますし。
安田
そうなんですよ。実は私の両親の遺言も「墓は作るな」というもので(笑)。「お骨は海にでも撒いてくれればいい」なんて言われましたけど、それもなかなか大変じゃないですか。

鈴木
散骨に関する法律は特にないですけど、だからといって好き勝手に撒くわけにもいきませんもんね。
安田
ええ。それに、遺された側としてはなんらかの「拝む対象」が必要だなとも思っていて。それで「永代供養」が一番理にかなっているんじゃないかなと思ったりしたんです。

鈴木
お墓のように管理する必要はないけれど、永代供養をしたお寺や納骨堂に行けば、いつでも好きな時に拝むことができる。
安田
そうそう。「みんなの仏壇」みたいな感じでいいじゃん、と(笑)。ちなみに「永代」と言うからには、永遠に面倒を見てくれるということなんですかね?

鈴木
いえいえ、「永代」と言えど、個別の骨壷で保管しておいてくれる期間はあらかじめ決まっています。場所にもよると思いますが、だいたい50年くらいかな。
安田

あ、そうなんですか? じゃあその後はどうするんですか?


鈴木
合祀といって、他のお骨と一つにまとめるんです。
安田
へぇ〜! じゃあ一般的なお墓のように、個別に保管し続けるわけではないと。

鈴木
そういうことです。ちなみに一般のお墓もちゃんと管理費を渡していないと、そのうち「無縁仏」と判断されて合祀になりますよ。
安田
なるほど。ということは永代供養にしても、お墓に埋葬したにしても、ある程度の時間が経てば他のお骨とまとめられてしまうわけですね。ん? じゃあその「まとめられたお骨」はどうやって保管するんですか? 今後も亡くなる人は増え続けるわけですから、お骨の量もどんどん増えていきますよね?

鈴木
ああ、それでいうと、骨ってどんどん風化して粉状になっていくんですよ。
安田
それは知っているんですが、粉状になったとしてもまだ体積はあるわけで…。その「粉状のお骨」を置いておくために新たに土地を拡張しなきゃいけなくなるんじゃないですか?

鈴木

ああ、いえ、お骨って要はカルシウムなので、だんだん土に吸収されていくんですよ。

安田
ああ、そうでしたか! それなら納得です(笑)。

鈴木
「改葬」といって先祖代々の古いお墓を移動させることがあるんですが、そこにあった土を新しいお墓に移すこともあるんです。それも「骨が土に吸収された」と考えるからこそで。
安田
なるほどなるほど。でも、お骨がいずれ土に還っていくなら、ますます「お墓」という上モノの必要性がないような気がしてきました。

鈴木
確かにお墓=「手を合わせる場所」「お骨を保管しておく場所」と考えるならば、永代供養でも同じだとも言えますね。
安田
そうなんですよ。だからいっそのことお参りする対象としての「お墓」は各都道府県に1つくらいあればいいんじゃないですかね? お骨はそのまま何十年かかけて土に還っていくわけですし。

鈴木
まさに「みんなのお墓」というわけですか(笑)。私はまだ当分の間は、多くの人が「個」にこだわってお墓を建てるんじゃないかなとは思っていますけれど。確かに近い未来、そういう新しいスタイルが出てくるかもしれませんね。

 


対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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