第92回 会社員と1人法人、年収1000万円稼ぐのはどちらが楽?

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第92回 会社員と1人法人、年収1000万円稼ぐのはどちらが楽?

安田
私、常々不思議に思っているんですが、日本人って、会社に所属して「会社員」として真面目に働くことが「正解」と思っている人が多いと思いませんか?

鈴木
あぁ確かに。本当は会社員に向いていないのに、その「正解」に縛られて無理やり会社員を続けている人もいるでしょうね。
安田
そうなんですよ。それでも日本人の平均年収は400万円くらいなわけです。ということはですよ? もしこれが全員得意なことをして稼ぐとなれば、もっと平均年収も上がると思うんですよね。

鈴木
ふむふむ。この間から安田さんが仰っているように、日本人の年収の中央値が1000万円になるのも、ぐんと現実味が出てきますね!
安田
ですよね。ちなみに鈴木さんは会社員として1000万円稼ぐのと、1人法人で1000万円稼ぐの、どちらが楽だと思います?

鈴木
どっちかなぁ…。何をもって「楽」とするかにもよるかもしれないですね。「楽=リスクがない」ということなら会社員の方ですかね。
安田
確かに会社に雇われている方が、1人法人でやるよりもリスクは低いですよね。だけど会社員で1000万円稼ぐのは相当大変ですよ。

鈴木
ああ、確かにそうですね。めちゃくちゃ仕事のできる人じゃないと難しいでしょうね。
安田
そうそう。しかも自分が1000万円の売上をあげるだけじゃ、給料は1000万円にならないし。例えば私は会社員時代によく「自分の給料の3倍は稼いでこい」と言われていたんです。でもだからといって3000万円の粗利をあげてくる社員に1000万円の給与を払うのって、現実的ではないわけで。

鈴木
そうですね、それじゃあ会社は成り立たない(笑)。最低でも5000万円くらいは稼いできてもらわないと、1000万円を渡すのは無理かもしれない。
安田
そうなんですよ。たぶん会社員として1000万円の給料をもらおうと思ったら、その10倍・20倍の利益を会社にもたらさなければいけない。ところがフリーランスだったら1000万円の利益を上げたら、そのまま1000万円の収入になるんですよ。

鈴木
ということは、1000万円稼ぐのは、1人法人やフリーランスの人の方がはるかに「楽」にできるというわけですね。
安田
はい、私はそう思っています。これを2000万円で考えるともっとわかりやすいんですよ。会社員で年収2000万円稼ぐのって、ほぼ無理でしょ? でもフリーランスや1人法人なら全然現実的な数字ですよ。

鈴木

ああ、確かに会社員だと、上場企業の役員クラスにならないと無理でしょうね(笑)。しかも「役職」って自分の意思で得られるわけでもないし。その点、「社長」とか「経営者」は自分の意思でなることができますもんね。…うん、やっぱり1人法人の方がいいね(笑)。

安田
笑。ちなみに鈴木さんも今、新しいビジネスを1人でやられていますよね。そちらも今後、利益が2000万円くらいになる可能性って大いにありますよね?

鈴木
そうですね、あるでしょうね。でもちょっと思ったのが、1人法人でやろうとしても「何をやるか」に迷う人は多いと思うんですよ。そこをうまく見つけられないと、せっかく成長意欲とか勤勉さを持っていても、なかなか成功できないのかなと。
安田
まさにそこなんですよ。会社だったらあらかじめ商品やサービスがあるし、社内で何かしら仕事をしていれば必ず毎月お金がもらえるわけです。だけど「自分で商売をやる」ということは、つまり自分で商品を作り、自分で売らないといけない。その2つがとてつもなくハードルが高いんだと思います。

鈴木
だからみんな「俺に商売は無理だ。会社員にしておこう」って思うんでしょうね(笑)。
安田
そうそう。でもちょっと考えてみると、いわゆる「サラリーマン」が増えたのって戦後の話なんですよ。昭和初期の頃は、自営業をやっている人の方が多かったんですから。

鈴木
確かに確かに。ほとんどの家で「家業」をやっていましたよね。僕の親や祖父母も自営業でしたもん。
安田
ですよね? 実家が自営業だった人って、自分で商売して稼ぐことに抵抗感はないんだと思うんです。「商売勘」もありますしね。ところが「親子3代サラリーマン」みたいな家庭で育った人には、最初から「自分で商売をやる」という発想がないんです。

鈴木
ははぁ…「雇われて働く」以外の選択肢に考えが及ばないわけか。そこを上手く意識改革できれば、安田さんの目指す「日本人の年収1000万円化計画」の実現にまた一歩近づけそうですね(笑)。
安田
そうですね(笑)。今より楽しく、働く時間も少なく、でも確実に収入が増えるような方法、鈴木さんもぜひ一緒に考えてくださると嬉しいです!

 


対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

感想・著者への質問はこちらから