もうひとつの職探し

パートやアルバイトの仕事を探そうとしている人。
どこかの会社に就職して、正社員になろうとしている人。
そういう人たちにとって、
仕事選びはメニュー選びのようなものである。

たとえば飲食店のメニューには、たくさんの料理と、
その価格が並んで記載されている。
食べたい料理を選んで、その対価を支払う。
それが飲食店でのメニュー選び。

仕事探しのメニューには、仕事内容と、
それに対する報酬が並んで記載されている。
その中から条件の良さそうな仕事を選び、
労働と引き換えに提示された報酬を受け取る。
それが多くの人にとっての仕事選び。

彼らにとって仕事とは、
報酬とともに提示されているメニューなのである。
レストランでカレーライスやサンドイッチを選ぶように、
職探しでは、営業やシステム開発という仕事を、
メニューの中から選んでいく。
ではそのメニューは、一体誰がつくっているのだろうか。

仕事のメニューを作っているのは雇う側、つまりは会社である。
仕事内容と、その仕事に対する報酬を決め、求職者に提示する。
その情報を集めて整理し、
選びやすくしているのがハローワークであり、
求人雑誌であり、求人サイトなのである。
そこに行けば、たくさんのメニューの中から、
仕事を選ぶ事が出来る。

もちろん、選んだ仕事に就けるかどうかは、分からない。
それを決めるのはお金を払う側なのだ。
出来るだけ安い給料で、出来るだけ有能な人材を雇いたい。
それが雇う側の本音だ。
条件の良い仕事は、競争が激しい。
結局多くの人は、残された仕事の中から、
比較的ましな仕事を選ぶしかない。

だから仕事が、
つまらないもの、生活のために仕方なくやるもの、
出来ればやりたくないもの、になってしまうのである。
この負のスパイラルから抜け出す方法は二つしかない。
ひとつ目は、激しい競争に勝って、条件の良い仕事に就くこと。
もうひとつは、自ら仕事をつくり出すことである。

仕事とは、提示されたメニューの中から、選ぶもの。
つまり、どこかの会社に就職すること。
そう思い込んでいる人が多い。
だが実際には、仕事は誰にでもつくり出せるものなのである。

それは単に、起業する、とか、
独立する、という意味ではない。
会社の中にいても、
自分の仕事は自分でつくり出すことが出来る。
ただ、多くの人はその事実を知らないだけ。
というよりも、与えられた仕事をこなすことに、
私たちは慣れ過ぎてしまったのである。

自ら仕事をつくり出すか、あるいは与えられた仕事をするか。
ここで人生は大きく分かれる。
与えられた仕事では、その内容も、やり方も、報酬も、
コントロールすることが出来ないからだ。
仕事をつくり出す行為こそ、
自由とやりがいと安定への入り口なのである。

仕事とは、誰かの役に立つことだ。
与えられた仕事を越え、同僚の役に立ち、
お客さんの役に立ち、会社の役に立ち、業界の役に立つ。
報酬を超えた行動の先に、新しい仕事は生まれて来るのである。

 


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