流れの中に

社会とは、人の集まりである。
そこにいる人間をじっくり観察していると、
いくつかの流れがあることに気がつくはずだ。
まず、お金の流れ。
ある人間が持っていたお金が、他の人間へと流れていく。
更に受け取った人間から、他の人間へと流れていく。
その繰り返し。

もちろん、財布や銀行口座で停まっているお金もあるが、
長い目で見れば全てのお金は流れているのである。
次に、お金とは反対の方向に流れているものがある。
商品やサービスと言われるものだ。
右から左にお金が動けば、商品やサービスは左から右に動く。

一カ所だけをフォーカスすれば、
それは単なる買い物という交換行為に過ぎない。
だが全体を俯瞰して眺めれば、
全ては繋がっているということに気がつくだろう。
ある方向にお金は流れている。
そしてそれとは逆方向に、商品やサービスが流れている。
その二つの流れによって、社会は覆い尽くされているのである。

社会とは人の集まりであり、
人と人との間を流れる川の集まりでもあるのだ。
社会で成功するためには、この二つを熟知する必要がある。
すなわち、人を知ることと、流れを知ること。
この二つを制するものが、社会における成功者となるのである。
では、流れを知るにはどうすればいいのか。

たとえば日本には、大小無数の川が流れている。
地図を確認すれば、その形や、
大きさを理解することは出来るだろう。
だが、流れを知ることは出来ない。
どこの流れが早く、どこの流れが遅いのか。
これを知るためには、天候や地理的条件のような情報と、
現場での観察力が必要だ。

全体を形作る大きな流れと、人と人との間を流れる小さな流れ。
大きなビジネスを仕掛けるには、大きな流れが、
小さなビジネスを仕掛けるには、小さな流れが、
とても重要になる。
たとえば小さな川に澱みがあれば、
それは小さなビジネスの大チャンスなのである。

まず、川の澱みをじっくりと観察し、
流れが停滞している原因を突き止める。
次に、自分自身がその川へと入り込み、
停滞の原因となっている要素を取り除く。
実際の川であれば、障害物を取り除けば、
水はスムーズに流れ出す。
だがお金やサービスの川は、それだけでは流れていかない。
社会の川はもっと複雑なのだ。

商品がスムーズに流れていくように、物流の仕組みを作り上げる。
お金がスムーズに流れていくように、決済の仕組みを作り上げる。
商品の価値が理解しやすいように、価値伝達の仕組みを作り上げる。
商品の価値が発揮されるように、フォローの仕組みを作り上げる。
やるべき事は、無数にある。
つまり、ビジネスチャンスもまた、無数にあるのだ。

人と人との間の流れ。
その間に自分が入ることによって、よりスムーズな流れになる。
その場所を見つけることが、
社会での居場所を見つけることであり、
自分の仕事をつくり出すことでもあるのだ。
流れの中に、自分が活きる場所は必ずある。
自らその場所に飛び込むのか、
あるいは誰かに放り込まれるのか、
全ては自分次第なのである。


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