ファンから始まるビジネスモデル

日本中に(いや、もしかしたら世界中に)、
100人の強烈なファンがいれば、
それだけで食べていける時代になりつつある。

会社やお店を通さなくても、個人と個人が直接繋がれる環境。
そこではこれまでの商習慣が、
根底から変化していくことになる。
ビジネスでもなく、ボランティアでもない、
新しい形のギブアンドテイク。
それが、ポスト資本主義の基盤となっていくだろう。

ポスト資本主義社会においては、
商品よりも、販売方法よりも、人間関係が重要になる。
何を買うか、どこで買うか、ではなく、誰から買うか。
いや、そこではもはや、買うという概念すら無いかもしれない。
何かを手に入れるためではなく、
誰かをサポートするためにお金を払う。
その姿は、顧客というよりは、ファンに近い。

会社を設立し、事業を起こし、商品を作って、販売する。
それがこれまでの、ビジネスの流れ。
社長がやるべき事は、資金集めと事業計画の立案だった。
だがそれも、ポスト資本主義においては、大きく変化する。
次世代の社長に適しているのは、
お金を集められる人ではなく、ファンを集められる人だ。

あなたを応援したい、という熱烈なファンがいれば、
ビジネスは後からついて来る。
では、どうやったら、
「私のファン」を増やすことが出来るのだろうか。
これまでの社会では、アーティストと呼ばれる人たちが、
作品によってファンが生み出してきた。

ある小説を読むことによって、その作家のファンになる、とか。
ある曲を聴くことによって、
そのアーティストのファンになる、とか。
作品によってファンが生まれるのが、これまでの順序。
だがポスト資本主義においては、その順序が入れ替わる。
まず、ファンが誕生する。
結果的に作品が売れる。
それが次世代のアーティストのあり方だ。

知らない人に親切にしたり、
頼まれてもいないのにアイデアを出したり、
面白い言葉や画像を発信してみたり。
自分が得意とすることで、勝手に誰かを喜ばせるための、
心のこもったお節介。
そのお節介がファンを生み出す原動力となる。

親切や、アイデアや、笑いや、驚き。
それを受け取り続けた人は、
気がついた時にはファンになっている。
単なるおせっかいな人が、
無くてはならない特別な人に、なっていくのである。
そうなると、相手を応援したくなる。
おせっかいな活動も応援したくなる。

親切は、やがてサービスへと変わり、ビジネスになる。
アイデアは、やがて商品へと変わり、ビジネスになる。
ファンから始まるビジネスモデルが、ここに誕生するのだ。
だがそれはあくまでも、結果に過ぎない。
相手を喜ばせるための、本気のお節介が、
結果的にビジネスモデルに変貌する。
儲けるための親切や、利益を得るためのアイデア。
それは、前時代のビジネススキルであり、
次世代には通用しない。
スキルのある社会人よりも、ファンのいる小学生の方が、
次世代の経営者には向いているのである。


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