四択人生のはじまり

一生懸命働いて、豊かな生活を手に入れるのか。
遊んでばかりいて、貧しい生活を送るのか。
私たちはずっと、この二者択一を迫られてきた。
一生懸命勉強し、いい学校に入り、いい会社に就職し、
定年まで我慢強く働き続ける。
それが豊かになる為の王道。

勉強しない、学校に行かない、就職しない、働かない。
それはニートやフリーターと呼ばれる、落ちこぼれの貧乏人生。
さあ、君たちは、どちらを選ぶのだ。
頭がいい人、真面目な人、努力家の人たちは、
迷わず前者を選択する。
頭が悪い人、不真面目な人、ぐうたらな人たちは、
結果的に後者を選択するはめになる。

頑張って冬を乗り越える働きアリと、
遊んでばかりで野垂れ死ぬキリギリス。
これはもはや、選択というよりも、脅しである。
言う通りにやらないと、大変なことになるのだぞ、という脅し。
だがここに来て、その脅しも通用しなくなってきた。

脅しが通用しなくなった理由は、大きく分けてふたつある。
まずひとつ目は、言われた通りに一生懸命働いても、
ちっとも豊かにならない、という現実。
そして、もうひとつは、遊んでばかりいた人が、
気がつけば豊かになっている、という現実。

上司の命令に従い、毎日黙々と働き、
言われるがまま残業もしてきた。
だが暮らしは、ちっとも良くならない。
先行きの不安は募るばかり。
一方で、フィギュアを作ったり、ふざけた動画を作ったりして、
遊んでいる人が稼いでいる。

これはおかしい。一時的な出来事だ。
そんな人生が続くはずがない。キリギリスはやがて野垂れ死ぬ。
そう自分に言い聞かせているが、暮らしは一向に好転しない。
キリギリスも野垂れ死なない。
そう、私たちは、そろそろ認めなくてはならないのだ。
人生は、二択から四択に変更された、という事実を。

仕事=お金になる。遊び=お金にならない。
働いて豊かになるか、遊んで貧乏になるか。
そのシンプルな二択人生は、今や四択に変わった。
すなわち、儲かる仕事、儲からない仕事、
儲かる遊び、儲からない遊び、の四つである。
四つに増えた、という事実を認めなければ、
もはや先には進めない。
問題はそれを認めるかどうかではなく、どれを選ぶのかである。

儲かる仕事を選ぶか、儲かる遊びを選ぶか。
それは好みの問題である。
楽しさなど除外して、
仕事は仕事と割り切りたい人もいるだろう。
楽しみながら働きたい、という人もいるだろう。
どちらだって構わない。
大事なことは、儲からない仕事を選ばない、
という一点に尽きる。

儲からなくても遊びならまだいい。楽しいのだから。
だが儲からない仕事は、選ぶべき理由がない。
にもかかわらず、いまだに多くの人達が、
儲からない仕事を選んでいる。
それは明らかに、間違った選択だ。
どんなに腕力を鍛えても、素手で空を飛ぶことは出来ない。
どんなに我慢して働いても、儲からない仕事は儲からない。
今やるべき事は、我慢ではなく選択の変更なのである。

 


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