問合せを増やす、新商品を考える、
いい人材を採用する、ブランド力を高める。
などなど、企業は様々な課題に直面する。
そのひとつひとつに真摯に向き合い、
解決していくこと。
それ以外に方法はない。
すべてをいっぺんに解決できるような、
魔法のような解決策など存在しないのである。
真っ当な経営者であればそのように考えるだろう。
そしてその考えはとても正しい。
地味で手間のかかる小さな改善の繰り返し。
その継続だけが、
とんでもない成果へと導いてくれるのである。
だがこの真っ当な考えが、
企業を終焉に導いていくことも事実である。
言うなれば正しい終焉。
正しい努力を続ける真っ当な企業は、
そこに向かって進んでいく。
すべての生き物が、
死という終焉に向かうように。
小さなミスを見逃さず、正しい努力を積み重ね、
少しずつ成長していく。
人間も企業も、そういうものが大成していく。
だがどんなに正しい努力を積み重ねても、
人はいずれ老い、死んでいく。
では企業はどうだろうか。
会社は死なない。
それは半分正しく、半分間違った考えだ。
確かに入れ物としての会社は死なない。
だが事業は死んでゆく。
人にも事業にも寿命があるからだ。
人間という種が生き残るためには、
個々人は死んでいかなくてはならない。
会社が生き残るためにも、
事業は死んでいかなくてはならないのである。
目の前の課題を解決することによって、
事業は成長していくだろう。
だがどんな事業も必ず終わる。
この事実を受け入れない限り、
会社そのものが終焉を迎えてしまう。
今ここにある課題ではなく、今ここにはない課題。
課題というフレームの外側にある課題。
そこに進化のスイッチがある。
成長ではなく進化。
まったく違う生き物になること。
想定を超えたイノベーションだけが、
時を超える進化をもたらすのである。
だがこれは簡単なことではない。
人は自分が想定できない課題を、
考えることはできない。
知識、経験、情報、常識。
それがあるからこそ人は課題を認識できる。
認識できるからこそ、
その対処法を考えることができる。
だが時として、いまのような時代の境目には、
その枠を超えることが求められる。
私の課題、我が社の課題、我々の業界の課題、
日本の課題、そういう枠を超越する。
想定内の思考や情報からは、
想定外の答えは見つからない。
だがその答えを見つけ出さない限り、
寿命という終焉は越えられないのである。
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