ステップ経営

“風が吹けば桶屋が儲かる”という諺があるが、
実際には風が吹いても桶屋は儲からない。
なぜ儲からないのか
考えたことはあるだろうか。

風が吹いたら確かに砂埃は舞うが、
それによって盲目の人が増えたりはしない。
仮に盲目の人が増えても猫など減らないだろうし、
ネズミが増えても桶ばかり齧ったりはしない。

つまり計算が甘いのである。
なんだ、そんなことか。
当たり前じゃないかと思われるかもしれない。
だが多くの経営者は似たような甘さで
仕事をしているのである。

そもそも稼ぎはどうやって生まれてくるのか。
そこを真剣に考えなくてはならない。
コンビニで働くバイトの時給が安いのも、
会社員が大金持ちになれないのも、
稼ぎについて真剣に考えないからである。

すべての人は時間という資源を持って生まれてくる。
この資源を交換することでいろんなものが手に入る。
知識、経験、お金、自動車、衣服、などなど。
元を辿ればすべては時間なのである。
稼ぎとはつまり手にするお金のことだ。

私の時間を何と交換すればお金は増えるのか。
ここが思案のしどころなのである。
たとえばコンビニのバイト。
これは時間→労働という交換行為である。
つまり1ステップ。

資格をとって社員になる。
これは時間→資格→就職という2ステップである。
ステップとは稼ぎの変数である。
うまい具合にステップを重ねていけば、
手にするお金はどんどん増えていく。

会社をつくるのも、社員を雇うのも、
商品を開発するのも、メルマガを書くのも、
すべてステップなのだ。
時間を売るという1ステップは最も稼げない行為だ。

資格、経験、商品、顧客リストなど、
ステップを増やすことで稼ぎは増える。
だが計算が甘いと、ステップによって
稼ぎは増えるどころか減ってしまう。
風が吹いても桶屋が儲からないのと同じである。

流行りのビジネスをやれば儲かる。
大手の下請けになれば儲かる。
社員を増やして規模を拡大すれば儲かる。
残念ながらそれは計算の甘いステップだ。

ステップが少ないと儲けようがないが、
ステップを間違えると儲けは減る。
ではどのようなステップが理想なのか。

小さな会社が考えるべきは
3つの交換ステップである。
何を売るのか(商品との交換)。
どのように加工するのか(付加価値との交換)。
どうやって売るのか(戦略との交換)。

この交換を徹底的に考える。
仕入れたものをそのまま売るのは
コンビニのバイトと同じだ。
変数の高い交換ステップをビジネスに組み込む。
それが経営者の仕事なのである。

 

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