ディナーとビジネスの境目

よほどの料理上手でない限り、
特別なディナーは外食することを考えるはずだ。
どうせ行くなら少々高くても
ちゃんとしたお店を選ぶだろう。

自分で作るよりもはるかに美味しい、
手間暇のかかった料理。
もちろん素材も厳選されている。
お店の雰囲気もいい。
サービスだって行き届いている。

ではこれをビジネス的に考えるとどうか。
確かに美味しくていい店ではある。だが高い。
もっとコスパを高めることはできないか。
経営者ならそう考えるだろう。

自分で料理人を雇うのはどうだろう。
いや募集に金がかかる。
社員の中にも料理上手がいるはずだ。
いい材料を買って彼らに作らせてみよう。
照明を暗くして、ムード音楽を流せば、
オフィスもいい雰囲気になるだろう。

結果、とても中途半端な、
そしてとても残念なディナーが出来上がる。
もちろん社員の努力は讃えたい。
だが安くなったこと以外に、
いいことはひとつもない。

当然のことながら
お店で食べるほどの料理は作れない。
サービスも雰囲気も中途半端だ。
本業以外のことをやらされた社員は疲れている。
あと片付けだって大変だ。

その上ちっともコスパが良くない。
このために買った食器や照明は
もう二度と使わないかもしれない。
食材の仕入れにも結構お金がかかった。
だけど目利きは中途半端だ。

こんなことならお店に行っておけばよかった。
そうなるに決まっている。
こんな非現実的な話を持ち出しても意味がない。
こんな経営者がいるはずない。
そう思われるだろうか。

確かに社員に料理まで
やらせる経営者は稀だろう。
美味しくないし、かえって高く
つくことが容易に想像できるからだ。

では広報はどうだろう。
財務はどうだろう。
商品開発はどうだろう。
営業の仕組みづくりはどうだろう。

それはもちろん社内でやっている。
我が社にはそれ専門のスタッフがいるのだよ、
と胸を張って答える経営者が多いはずだ。
だがそのスタッフは本当にプロなのだろうか。

コスト管理と時間管理をしっかりやった上で、
最高の料理を作り上げる。
お店の雰囲気やサービスにも手を抜かない。
それでいてしっかり利益は出る。
それがプロの仕事である。

はっきり申し上げるなら、
社内にいるスタッフの大半は素人である。
そして素人が10時間かけて作る料理は、
プロが1時間で作った料理に及ばない。
プロに外注すべき仕事を
社内でやってはいけないのである。

 

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1件のコメントがあります

  1. いつも楽しくコラムを読んでいます。また、新たな取り組みをされているユーチューブも視聴しました。
    企業内業務の専門業務と非専門業務 VS 外注・非外注(内製化)において、従来は専門・非専門に関係なく内製化志向でしたが、これからは高品質で従来より適切な価格で外注化するメガトレンドになることを理解しました。コラムとユーチューブの両方を見ると理解が深まります。
    企業(経営者)、企業の雇用者、それ以外の個人事業主の意識変化(や教育も変化)が求められると感じました。
    ありがとうございます。

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