波紋を起こす経営

水面に石を投げると波紋が起こる。
波紋とはエネルギーの伝播だ。
ビジネスは人を動かすことで成り立っており、
人を動かすにはエネルギーが必要だ。

だから経営者は波紋を求める。
それは仕事の流れに乗ることであったり、
ブームに乗り遅れないことであったり。
つまり人が動く何らかの波を、
経営者は追い求めているのである。

ではどうやれば上手く波に乗ることができるのか。
小さな波も見逃さないように
しっかりと情報収集しておく。
どんな波が来てもいいようにしっかり準備しておく。
それはとても良い心構えである。

だが重要なことをひとつ見落としている。
それは自ら波を起こすことである。
すべての経営者はその手に石を持っている。
だが自ら石を投げる経営者は少ない。

波紋を起こすのは簡単である。
水面に石を投げ込みさえすれば波紋は起こる。
もちろん投げ方に上手い下手はあるだろう。
大きな石を投げられる人もいるし、
遠くまで投げられる人もいる。

中にはすごい変化球を投げられる人だって
いるかもしれない。
自分はいたって普通の人間だ。
決して石を投げるタイプではない。
そう決めつけている経営者はとても多い。
だからほとんどの人は他人が起こす波紋を待っている。

他人が起こす波はとても重要だ。
なぜなら波はお互いに干渉しあっているから。
自分ひとりでは大きなエネルギーは生み出せない。
とは言え、人の波に乗るだけでは経営が成り立たない。
今はそういう時代なのだ。
小さな余波に乗っているだけでは
経営に足る利益は得られない。

すべての経営者は自ら石を投げることを考えるべきだ。
波を起こし、人の波と組み合わせ、
大きなエネルギーに変えていく。
それは今の時代に不可欠な経営の要素だ。

小さな石でいい。
まずは自分で考えた商品や事業を、
社会という大きな池に投げ込んでみる。
池に投げ込むのは簡単だ。
ネット社会の水面は会社の中にまで及んでいる。

新商品を考え、LPにまとめ、SNSで発表する。
不出来な商品、素人がつくったLP、
フォロワーの少ないSNS。それでいい。
小さく歪な石でいいからまずは投げ込んでみる。
するとそこに必ず波紋が起こる。
その波紋をじっと観察する。

どうやって広がっていくのか。
どうやって萎んでいくのか。
観察し、修正し、少しずつ波紋を広げていく。
いずれ誰かの波紋と出会い大きな波になっていく。
すべては自分で石を投げることから始まるのである。

 

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