給料が増えなくても、労働人口が減り続けても、
日本人の貯金額は増え続けている。不思議である。
このお金は一体どこから湧いてくるのだろうか。
無駄遣いをしない。
質素倹約して不安な未来に備えている。
その分析が間違っているとは思えない。
実際たった数十円の値上げをしただけで
消費者は離れていってしまう。
これは牛丼屋だけに限った話ではない。
現代の消費者はシビアなのだ。
いや、シビアにならざるを得ない。
給料は増えないが税金や社保の負担は増える。
更には円安による物価高、
そして定年後に20年は続くであろう人生。
年金支給金額は引き下げられ、
年金支給年齢は引き上げられる。
これでシビアになるなというのは無理な話である。
しかし不思議な現象も起こっている。
たとえば休日の銀座や丸の内には
すごい人だかりができている。
1杯1500円以上もするカフェに
行列ができていて入ることもできない。
みんな高そうなランチやデザートを食べている。
コロナで紳士服が売れなくなくなったと言われて
いるのにブランドものの服は売れている。
高級腕時計も在庫がなくなるほど売れ続け、
新車や最新家電は何ヶ月も先まで予約で埋まっている。
そんなものは一部の富裕層だけだ。
ほとんどの庶民にとって無関係な話だ。
と言われるが、街やリゾートを眺めている限り、
そこにいる人たち全員が富裕層には見えない。
どんなにシビアな生活をしていても、
人間から無駄遣いは決してなくならない。
現実はそれを物語っている。
生活費と無駄遣いは別なのである。
人は生きるために働いている。
そう信じている人は多い。
じっさい稼ぎの多くは生活費に充てられている。
だが生きるために必要な衣食住は削られる一方だ。
反対に、生きるためには不要である趣味のファッション、
おしゃれなカフェでのランチやデザート、
ちょっと贅沢なリノベーション。
こういうところにお金をかける。
生きるために必要な生活費を切り詰めて、
生きるために不要な無駄遣いを繰り返しているのである。
だが驚くことはない。そもそもそれが人間なである。
冷静に眺めてみれば社会は無駄なもので溢れている。
ゲーム、マンガ、ファッション、デザート、
無駄のオンパレードだ。
つまり利益の源泉はそこにある。
人はなぜ無駄遣いをするのか。
いつどのようなタイミングで無駄を欲するのか。
無駄から逆算して商品をつくる。
それが人間ビジネスの本質なのである。
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