お金を使うセンス

お金を稼ぐにはそれなりの知識やスキルが必要だ。そしてセンスも求められる。センスとは微妙な違いを感じ取る能力である。たとえばプロの料理人は微妙な塩加減を舌で感じ取ることが出来る。プロの画家なら微妙に違う色を認識することが出来る。

素人にはよく分からないほんの少しの差やズレ。これを認識できる能力がプロの技能を支えているのだ。美容師が切る髪の長さも同じ。長すぎてもいけないし短すぎてもいけない。その人に似合う絶妙な長さを感知するセンスが求められる。

ではお金を稼ぐセンスとはどのようなものか。これはお金を使うセンスと表裏一体である。お金を稼ぐ方法は2つしかない。時間を使って稼ぐかお金を使って稼ぐか。多くの人は時間を使って稼ぐことしかしない。つまり誰かに時間を売って稼いでいる。これでは稼ぎに限界が来る。なぜなら売れる時間は限られているから。

その点お金は無限に使える。お金持ちは時間の使い方が上手いと言われるが、それ以上にお金の使い方が上手いのである。人を雇うことにお金を使えば他人の時間を使うことができる。つまり時間も無限に増えていくのである。

お金の使い方は大きく分けて2種類ある。消費と投資である。好きなものを買う、食べる、家賃を払う、などは消費である。消費として割り切るなら損得勘定は捨てた方がいい。変に費用対効果などを考えると自分の満足度を下げてしまう。消費の最大の目的は何といっても自己満足だ。世間の評価や他人の目を気にせず自分が満足するものにお金を使う。これが消費のセンスである。

では投資はどうか。投資は消費とは正反対である。好き嫌いではなくリターンにつながるかどうか。ここが最も重要なところだ。一番センスが悪いのは投資を意識せずお金を使うこと。次にセンスが悪いのは安いという理由で投資対象を選ぶこと。

安く仕入れられるものにはほとんど投資効果がない。安く仕入れて高く売るマーケットはもはやレッドオーシャンだ。とくに小さな会社や個人はここでは稼げない。投資すべきは単価の高いもの。高く仕入れてさらに高く売るのだ。

もちろん高く仕入れればいいというものではない。自分が手を加えることでより高くなるもの。加えることで自分の価値がより高まるもの。そこにお金を使う。使うためのセンスを磨く。まずは投資にお金を使うと決めること。そして安物買いをやめること。これがセンスを磨く第一歩なのである。

 

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