優秀な人材が欲しいなら欠落に目を向けなくてはならない。優秀だけど大学を中退しているとか。優秀だけど週に2〜3日しか勤務できないとか。優秀だけど自宅でのフルリモート勤務以外は無理だとか。優秀だけど65歳を過ぎているとか。
もっと普通の人材がほしい。そう思うのなら能力・やる気は並み以下であることを受け入れなくてはならない。若くて、やる気があって、行動力もあって、頭の回転も速い人材など、いない。そう頭を切り替えるべきだ。
もちろんマーケットにひとりもいないわけではない。だがそのような人材を採用し、定着させることが、どれほど困難なことか。そもそも彼らに選ばれる会社なのかどうか客観的に自社を眺めてみた方がいい。
現実的に考えればターゲットはふたつしかない。1)これといった欠点がなく平均以下でバランスの取れた人材。2)欠点はあるけれど突出したスキルを持つ人材。会社を伸ばしていくためにどちらを選ぶべきなのか。それは職種によって異なる。
やる気・能力は普通以下でも、勤務時間に決められたことだけこなしてくれればいい。そういう仕事なら前者の人材を選ぶべきだ。一方で、個人の能力によって成果が変わる仕事は、後者の人材を選ぶべきである。たとえば営業や商品開発、マーケティングや広報のような仕事。
後者の人材を選ぶなら、必要なスキル以外は完全に目を瞑った方がいい。高齢者だろうが、引きこもりだろうが、人の目を見られなかろうが、求める仕事のスキルさえ高ければいい。そういう求人を出さない限り、中小企業が優秀な人材を手にすることは出来ないのである。
日本の学校は欠点の少ない人材を育てようとする。国語算数理科社会が人並みに出来て、ちゃんと人付きいもできる人。それが良い生徒とされる。しかし社会と学校とではルールが違う。並の商品・並のサービスでは、並以下の料金しか払ってもらえない。ここにしかない商品やサービスだからこそ、他社より高い料金を払ってもらえるのである。
利益は付加価値からしか生まれない。そして付加価値は突出したスキルからしか生まれない。バランスは良くないが突出した能力や得意分野を持つ人材。これこそが付加価値の源泉であり中小企業が狙うべきターゲットなのである。欠落のない人を採ろうとするから失敗する。欠落を愛する会社に優秀な人材は集まってくるのである。
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