第199回「背徳感、プチ贅沢、夜限定という小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「背徳感、プチ贅沢、夜限定という小さなブルーオーシャン」


以前、北海道は札幌に6年間ほど住んでいたことがあります。当時、流行っていたのが、飲んだ後のかき氷(もしかしたら、いまでも続いているかもしれませんが…。いやもう定着して当たり前になっているのかも?!)。お客さまと会食をし、締めにラーメンというのは東京でも札幌でも一緒でした。たまに、締めにジンギスカン。これはさすがに「えっ?いまからジンギスカン?!散々食べたのに?」と驚きました。で、ある時、連れて行っていただいたのが、かき氷。しかも真冬の、雪深い札幌で。これもまたびっくり。極寒の中で、かき氷???しかし、当時は流行っていたのか、いくつかのかき氷店があり、結構賑わっていました。

さて、最近の流行りは、ソフトクリーム。
しかも夜限定。飲んだ後の締めにソフトクリームを食べるんだとか…

安いコンビニスイーツがある中で、あえて高いソフトクリームを食す

東京都墨田区にある押上。この下町に、「夜アイス専門店 真夜中牧場」があります。
営業時間は16:00−24:00。まさに夕方から夜だけ。

夜限定のスイーツ店というのは確かにあります。プリン専門店とか。こちらは飲んだ人たちをターゲットに、お土産としてスイーツを買って帰ってもらおうというのがコンセプトでした。

真夜中牧場は、学校や仕事帰りに夜遅くまでアイスクリームを楽しめるというのがコンセプトのようです(結果として飲み終えたビジネスパーソンが締めにアイスクリームをとなったようですが…)。しかも、賞味期限5分というアイスクリームもあるとか。こうなると、お土産としては難しく、その場で食していくことになるでしょう。

価格帯も600円−800円とアイスクリームどころかスイーツとしてもお高め。コンビニに行けば、美味しくて安いスイーツがすぐに手に入る世の中であえてこの値段設定にしているとか。

キーワードは、背徳感とプチ贅沢。
夜にスイーツを食べるというのは、ちょっと背徳感がありますよね。しかし夜限定で美味しいアイスクリームとなると、背徳感を感じつつも、食べたくなる。さらに、もはや背徳感を感じつつも食べるのであれば、いつも手に入るコンピにスイーツよりもちょっと贅沢な方がいい。そんな心理をくすぐるような戦略です。うまいですね。

よく商品やサービスを提供する際に、「付加価値」をつけなければいけないと言われ続けてきました。でも、結局のところ付加価値ってなんなのでしょうか。例えば家電を見てみると、付加価値という言葉の結果、さまざまな機能が付加されて、値段が上がるけど、使えない機能ばっかりだった、なんてことが多々ありました。

私が思うに、付加価値とは、こうすべきという義務感よりも、こうしたいという欲求を生み出すことなのではないかと思います。

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夜アイス専門店 真夜中牧場
東京都墨田区押上3-3-8
URL https://mayonakafarm.com/
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佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

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