いい会社の選び方

ホワイト企業という言葉が死語になりつつある。給料が高く、休みが多く、仕事が楽で、夢のような会社。そんなものは実在しないし、実在したとしても存続できない。まともな思考回路を持つ人は現実をよく理解しているので、そんな怪しい会社を選んだりはしない。まともな人材が求めているのは能力と成果に見合う「真っ当な報酬」、心や身体を病まない「真っ当な職場」、そして確実にスキルアップできる環境である。

ホワイト企業という言葉は「ただ緩いだけの会社」と同義になりつつある。まともな人材を確保したいなら意味のない肩書きに惑わされないことだ。とはいえ世の中はできる人材ばかりではない。有能な人ならどこに行っても稼げるが、それ以外の大多数の人は入る会社によって人生が大きく変わる。ブラック企業に入ってしまうと使い倒されてヘトヘトになるし、成果主義の会社では生き残っていけない可能性もある。では彼らはどのような会社を選ぶべきなのか。

基本的に会社というものは利益を最優先に考える組織である。会社が社員を守るのはそれが利益を守る行為とイコールの場合のみである。つまり利益貢献する社員は徹底的に守られる。しかし利益貢献しない社員は守られない。冷たいのではなく会社とはそういう組織なのである。SDGsを大切にするのも、クレドを導入するのも、利益を最大化するための手段なのである。

ところが世の中にはこの順番を入れ替えている会社が存在する。社員のやりがいや生きがいが第一であり利益はそれをもたらすための手段である。と本気で考えている会社。社員がやりがいを持って頑張ってくれたら利益は後からついてくる。それは事実であるかもしれないが実行するハードルはかなり高い。どんなに社員を優遇しても利益をもたらさない社員は実在するからである。

このタイプの会社に入れた人はラッキーである。普通の人材であっても世間相場以上の好待遇が約束される。それが経営者の願いであり会社を経営する目的だからである。もし自分の能力に自信がなく、人との競争が好きでないなら、選ぶべきはこのような会社である。ただし冒頭に述べたように単なるホワイト企業は存続できない。このような会社が存続しているのは「結果的に社員が頑張るから」である。幸運にもこのような会社に入れたのならやるべきことは一つ。その幸運を手放さないために全力で働いて会社を守ることである。

 

 

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