チープ・ブレイン(安売り脳)

スモールビジネスを行う経営者は決して安売り脳になってはいけない。安いほうが売れる。安いほうが喜ばれる。安いほうが満足してもらえる。これは大きな間違いである。高いほうが売れる。高いほうが喜ばれる。高いほうが満足してもらえる。これが現実なのである。

顧客満足度がめちゃくちゃ高い店や会社を調べればそれは一目瞭然である。いやいや。ユニクロは安いけど世界中で売れているではないか。顧客に喜ばれているし満足度も非常に高いではないか。そう反論する人もいるだろう。そのような経営者にハッキリと申し上げたい。ユニクロは特別なのだと。決して見習ってはいけないビジネスなのだと。

安くて良い商品など存在しない。これが普通の経営者が受け入れるべき大前提である。ユニクロやマクドナルドのようなビジネスは圧倒的な物量によって実体化された幻想である。大企業と中小企業は違う。大企業と同じことをやってうまくいくわけがない。こう考えているはずの中小企業経営者が、なぜか安売り戦略に限って大企業の真似をしてしまう。

だがこれは最もやってはいけない真似である。やる前から失敗することが目に見えているからだ。安売りは圧倒的な物量とセットでなければ成り立たない。小学生でもわかる算数である。安くて良い商品という選択肢は中小企業には無い。選べる選択肢は3つ。高くて良い商品。高くて良くない商品。安くて良くない商品。選ぶべき商品はどれか。考えるまでもない。

気をつけないと脳みそは嘘をつく。安いほうが売れる。安いほうが喜ばれる。安いほうが満足してもらえる。これは全て自分の脳みそが勝手に作り上げたストーリーである。安さで選ぶ客は価格以上の価値を求める。漫画レベルの「安くて良い商品」でなければ彼らは満足しない。いや、それでも満足しない。更なる低価格と更なる商品力アップを求め続ける。

高くても価値のある商品を選ぶ客は価格に見合う価値を求める。より大きな価値がもたらされるならもっと高くてもいいと考えている。彼らを満足させることがスモールビジネスの鉄則だ。高いけれどもこの部分に徹底的にこだわった商品。その価値が理解できる人だけを顧客にする。どう考えてもこれ以外に選択肢はない。だが圧倒的多数の経営者が間違えてしまう。その原因は自分自身の勘違い。すなわちチープ・ブレインが引き起こす錯覚なのである。

 

 

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