働く場所がなければ収入を得ることができない。ゆえに雇う側が強く、雇われる側が弱いという時代が長く続いてきた。それが終わりつつある。最大の要因は労働人口の減少であるが、「ネット環境・スマホの普及・SNSの台頭」など様々な要因が入り混じった結果だろう。
若い人材はいつでも転職先を確保できるし、優秀な人材は会社に頼らず仕事を得ることもできる。もはや一方的に「雇う側が強い」と言える時代ではない。「嫌ならやめろ」と言おうものなら、その社員のみならず周りの社員までやめていく。ネットで情報が広がり新たな人材の確保も困難になる。
若者に限って言えば今は雇われる側の方が強い。嫌ならやめればいいし転職すれば給料も増える。だがその状況も長続きはしないだろう。年齢を重ねるごとに市場価値は下がっていくし、選べる会社の選択肢も減っていく。企業も馬鹿ではないので使えない人材にお金を払い続けたりはしない。
「いかに少ない雇用で多くの収益を上げるか」を企業は本気で考え出すだろう。システムに置き換えることで省人化を進め、業務委託を増やすことで雇用を減らしていく。もちろん雇用はゼロにはならない。労働時間に対する報酬額が決まっている社員は利益の源泉でもあるのだ。
真面目にこなすだけで利益が出る仕事は社員に適している。能力によって成果に差が出る仕事は社員には適していない。成果に関わらず時間報酬を支払う義務があるから。だからこの手の仕事は業務委託に流れる。業務委託なら成果に対して報酬設定ができるし、成果が得られなければ契約解除もできる。
もちろん業務委託側にもメリットがある。成果とスピードに自信がある人なら最短時間で最大の報酬を得ることが出来る。彼らには社員として働くメリットがない。時間に合わせて報酬を得たい人は雇用契約、成果に合わせて報酬を得たい人は業務委託契約、どちらでも好きな方を選べばいい。
人と会社の関係は大きく変わっていく。指示通り真面目に動いてくれる人は正社員。成果に合わせて報酬を支払う人は業務委託。会社も労働者もお互い納得してこの関係に落ち着くことになる。つまりwin-winの関係が出来上がる。
社員の報酬はビジネスモデルの優劣によって決まる。稼ぎたいなら転職力を高めるしかない。これが常識になるので「給料が安い」と経営者に文句を言う社員はいなくなる。経営者のストレスもなくなる。ただし最低限の報酬を生み出せない会社は人不足によりこの過程で消滅する。
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