少しでも安く、より便利な商品やサービスを提供するための真面目な労働。それが私たちの社会を支えていることは間違いない。人が生きていくために不可欠なエッセンシャルワーク。だがその仕事に従事している人たちの年収は決して高くない。理不尽だと怒る人もいるだろう。だがこれが現実なのである。
一方で「不真面目、割高、不便」な商品やサービスを提供している人たちが莫大な利益を得ていたりする。たとえばメジャーリーグの大谷翔平選手。彼に不真面目という言葉を使うのは甚だ失礼だが、エッセンシャルワークと対比するとそう言わざるを得ない。野球は生きていくのに不可欠だろうか。
100マイルの球を投げ、たくさんのホームランを打ち、盗塁までできてしまう。世界でも類を見ないオールラウンドプレーヤーである。だから100億円の年収に見合う十分な価値がある。と、多くの日本人は感じている。だがそれは一体どんな価値なのだろう。誰の、どんな生活に、役立つというのだろう。
ただ野球をやっているだけ、見るためには高額なチケットが必要、しかも飛行機に乗ってアメリカまで行かなければならない。「不要、割高、不便」のオンパレードであるがエッセンシャルワーカーの1,000倍以上の年収を稼いでいる。なぜこのような理不尽な差が生まれるのか。そこに稼ぎのヒントがある。
彼は人々に夢を見させてくれる。だからそれだけのお金や時間を費やすに値する。と多くの人が思っている。これが稼ぎのベースである。お米や電気は生きていくのに必須である。だがそこに多くのお金を費やすのは嫌だ。それには値しない。と多くの人が思っている。だから必需品ビジネスは儲からない。
100メートルを世界一速く走る人には価値がある。だから稼げる。90メートル世界一には価値がない。残り10メートルで抜かれてしまったら意味がない。だから稼げない。なぜ100メートルという地点の速度にだけ価値があるのか。それは価値があると多くの人が信じているから。
どんなに意味不明でも「欲しい」「見たい」「価値がある」と感じる人がいれば稼げる。どんなにすごい技を持っていても「欲しい」と思う人がいなければ稼げない。当たり前の話だがその当たり前を多くの人が忘れている。人はどんなものに喜んで金を払うのか。収入はここからの逆算で決まるのである。
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1件のコメントがあります
その通りですね。
生活必需の支出比率は、恐ろしく低い。
多分生きているだけなら10%くらいか。
だから経営者がうちの商品は必需品だから無くならない、と言ってるのを聞くと、?と思ってしまいます。
本当は要らないのに買いたいから価値がある。まさしくです。
8月よろしくお願いします。
思いっきり、安田さん流で、切ってください。みんな楽しみにしてます。
えのさん