月100万円の外注

セールス、商品開発、マーケティング、SNS運用、組織管理、顧客対応などなど。現代の企業経営には不可欠なポジションがいくつかある。これら全てを社員で賄おうとすると企業レベルは確実に下がってしまう。残念ながら中小企業には即戦力人材を採用する力も育成していく力もない。

そもそも社員で賄うという発想自体が時代遅れなのである。社員だから信用できる。安心して任せられる。社員がやったほうが安い。社員が育てば会社の財産になる。このように考える経営者は自身の価値観のズレを直視したほうがいい。なぜ社員は信用できるのか。立ち止まって冷静に考えてみてほしい。

社員は身内である。家族とも言える関係である。まさかそんなことを考えてはいないだろうか。経営者がそう思うのは自由だが社員は家族ではない。労働の対価を受け取るために雇用契約を結んでいる他人だ。辞めた社員に腹を立てる経営者は感覚がズレてしまっている。なぜ辞めないなどと考えるのだろう。

より良い条件があれば転職する。当然ではないか。成果ではなく労働時間に対して報酬を払う。それが雇用契約ではないか。では外注はどうだろう。社員はいつ辞めるか分からないが外注には契約という縛りがある。どれだけ時間をかけて頑張ろうが関係ない。契約した成果に対して報酬を払うのが外注だ。

中小企業が取るべき組織戦略は明確である。セールス、商品開発、マーケティング、SNS運用など、経営に不可欠なポジションの中で「ここ」という得意分野に社員を集中させる。得意分野で成果をあげられない社員は整理する。整理して浮いた費用で外部プロと契約し不得意分野を得意分野に変えていく。

雇用を減らして外注を増やす。これが正しい組織戦略である。雇うなら今すぐ確実に儲かる仕事。少なくとも半年以内に黒字化する人材だけを雇用する。未来への種まきである先行投資は全てプロに外注する。社員が育つかも、頑張ってくれるかも、という幻想を捨てる。外注すれば翌日から即戦力が揃う。

無駄な社員を整理すれば月100万円くらいの固定費はすぐに削減できる。月100万円あれば4〜5人の凄腕スペシャリストを確保できる。ほとんどの企業課題はこれで解決する。重要なのは本物のプロを見極める目だ。誰が担当するか分からない会社に依頼するのではなく、スキルと実績のある人で選ぶべし。

 

 

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