人を雇うなら決して社員のせいにしないこと。これが鉄則である。当たり前の話だがパソコンを使っても収益が増えないなら、それはパソコンの責任ではない。どう考えても自分の使い方が悪い。だがこれが人間相手になると途端に他責思考になってしまう。なぜあの社員は仕事ができないのだと腹を立てる。
日本の人口はどんどん減少していずれ半分以下になっていく。労働者はとても貴重なのだ。やる気や責任感や経営者意識など持たなくても、仕事は決してなくなったりしない。むしろ報酬はどんどん上がっていくだろう。そのとき経営者はどんな決断をするべきか。予想するに選択肢は2つしか残らない。
1)人を一切雇わないという選択をする。2)自ら労働者の生産性を高めていく。このどちらかである。自ら考えろ。もっとやる気を出せ。仕事に責任感を持て。このように社員に言ってしまう人は雇用などしない方がいい。まず人が集まらない。間違って入社しても定着しない。もちろん活躍などしない。
経営者ならこう考えないだろか。自社の商品を出来るだけ高く買ってくれる相手に売りたい。無理難題を言わない顧客と付き合いたい。こちらをやる気にさせてくれる顧客は最高だ、と。社員とて同じである。自分を高く買ってくれる、無理難題を言わない、やる気にさせてくれる会社に、人は集まるのだ。
人を雇用するなら、やる気や責任感や成長意欲など期待してはいけない。やる気を引き出すのも、成果を出させるのも、雇用する側の仕事なのである。時間を切り売りする感覚の労働者は「しっかり休めて、高給で、快適な職場」を選ぶ。自ら考えスキルアップしていくような人材は会社を離れて自ら稼ぐ。
人を雇うなら決して社員のせいにしないこと。そのための心構えは人間だと思わないことである。相手が人間だと思うから期待し、裏切られたと思い、腹を立てることになる。ちょっと頭の良いタヌキが働いている。こう捉える感覚が大事だ。タヌキなら言葉を理解してメールを返信してくれるだけで有難い。
冗談のように聞こえるかもしれないが私は至って真面目である。仕事ができないこと、成果を出せないこと、成長意欲がないこと。これらを社員の問題とする時代は終わった。不味い料理を包丁のせいにしてはいけない。賢いタヌキを雇ったと考え全てを自責で捉える。それが無理なら雇用などしないことだ。
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