日曜日には、ネーミングを掘る ♯115「ひとつこと」

今週は。

「アイデアとは、
複数の問題をいっぺんに解決するもの」

これは、マリオシリーズをはじめ
数々の世界的ゲームの生みの親にして、
現在、任天堂株式会社代表取締役フェロー
を務める宮本茂さんの言葉。

いまは亡き岩田聡さんが、
『ほぼ日刊イトイ新聞』の
対談(2007年)で紹介している。

対談上で岩田さんが
話していることであるが、
商品やサービスの開発はもちろん、
組織、さらには対人関係など、
私たちの周りは、
こちらを立てればあちらが立たずの
状態になりがちである。

というか、ほぼ確実になる。

こうした状況を
よしとしてしまうのではなく、
こちら様も、あちら様も、
なんとなればそちら様も、
一挙に解決してしまうこと。

つまり「ひとつこと」が
アイデアなのだという考え方である。

宮本さんの至言を、
私が知ったのは、なんと昨年のこと。
上記の対談から12年後という
なんとも間抜けなタイミングであるが、
以来、自分の内針が振れた物事に対して、
この視点でものを見るようになった。

たとえば、ある日の私は、
ランチで入った中華レストランで
羽根つき餃子を注文する。

羽根つき餃子の元祖は、
東京・鎌田の『你好(ニーハオ)』という
お店とされているが、
宮本式アイデア論にあてはめて考えると、
この餃子は以下のような
従来問題を解決していることになるだろう。

1.具材や皮だけでは
他店と差別化がしにくい。

2.おいしく焼くには
結構な熟練技が必要。

3.鉄板からひっくり返して
皿に盛る際にばらばらになりがち。

4.焦げた部分を削り落とすこと
による手間と材料のムダ。

おそらく你好の店主は、
おいしい餃子を
ただこしらえようとしただけ
なのであろうが、
結果的に素晴らしいアイデアに
なっているわけである。

たまたま思い出したのが
羽根つき餃子であったが、
飛び抜けた解決策は
開発者本人が意識するしないにせよ、
宮本式の条件を満たしているものだ。

「ひとつこと」

これを言葉の世界でいうなら、
「悪いことも善いことも、一言で言い放つ」
一言主神(ひとことぬしのかみ)の
ふるまいにも通ずるところであろうか。

ネーミングを考案する上においても
意識していきたいものである。

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

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