【読むPodcast | ゲリラマーケティング】「ジョブローテーションやトップダウン人事は、いまの時代に必要なのか」2019年8月1日配信

第358回
「ジョブローテーションやトップダウン人事は、いまの時代に必要なのか」
というご質問。
そもそも人事という発想自体が時代に合わないのでは。
栃尾

こんにちは。安田佳生のゲリラマーケティング。ナビゲーターの栃尾江美です。

金子

2年ぶりにストレングスファインダーやって、運命思考が1位でした。金子亜佑美でーす。

栃尾

へぇ~、そうなんだ。

安田

安田佳生です。

栃尾

今回は30代・会社員、ペンネーム・ダボスケさんからいただいております。いつも楽しく拝聴しております。今回は人事についての質問です。弊社は社員500人程度のローカルエリアの製造メーカーです。近年、社員の経験と部署の活性化を期待して、約5年単位をめどにジョブローテーション制度を進めています。しかし、人事異動の調整に際して各部署の部長に相談すると、やはり優秀な社員は自部署からよそへ出したくないという意思があり、各部署の意見を聞きすぎると全体最適より部分最適を優先してしまうので、うまくまとまりません。しかし、社長は人事をトップダウンにしたくないので、できるだけ人事部でまとめるよう促しています。私は人事についてはある程度トップダウンで行わなければまとまらないと思うのですが、いかがでしょうか。また、ジョブローテーション自体の考えが時代錯誤かなとも思っています。近年、働き方や業種内容の変化も日進月歩なので、10年20年前の5年程度の経験がそのときにどれだけ役立つのか、甚だ疑問です。それよりは、本人の適性と希望を鑑みてスペシャリストを育てるほうが役立つように思います。また、メーカーの性質上、新製品の開発などにはなかなか5年では成果が出しづらく、未来の柱になる製品、事業の構築よりも、どうしても目先の売上を優先する考えの部長が多いようにも感じます。ということで、人事はトップダウンでするべき?そもそも、ジョブローテーションは必要?以上2点についてお聞かせください。よろしくお願いします。ということです。

金子

すげ~。

安田

何がすごいですか?

金子

難しい漢字さらっと読んだなと思って(笑)

栃尾

甚だ?

金子

はなはだ。

安田

質問がすごいわけじゃなくて、読んだ栃尾さんがすごいと。

金子

あ、すいません。そうっすね。

安田

えーと、地方の会社なんでしたっけ?

栃尾

ローカルエリア。

安田

ローカルエリアの500人の製造メーカー。なかなか、いまの世の中的に微妙な立ち位置のとこですよね。

栃尾

微妙ですか?減っている?

安田

いま、超大手企業さんが休みが増えたりとか、残業規制もあるうえに、「終身雇用で年配の人に給料を払い続けるのは無理だ」っていうようなことを言い出してまして。

栃尾

ありましたね、はい。

金子

えーっ。

安田

そういう人を抱えながらどうやってやっていこうかっていうときに、「もうリストラするしかない」とか「より効率的にしていかねば」って感じで、もうからない仕事とかをどんどん下に出していくんですよね、下請けに。で、下請けはさらにその下請けに出すわけですよ。だから、この規模の企業さんで、もし下請けでやってるんだとしたら、結構大変だなと思ってですね。

金子

もうからない仕事、ってことなんですか?

安田

もうからないっていうか、だんだんと同じ仕事をやってると収益が薄くなってきてるってことですね。そういう意味でも、この方のおっしゃってるように、言われた仕事をただ単にこなすだけではなく、自分たち独自の新たな価値を生み出すってことが会社の至上命題になってますよね、いま。どうなんでしょう、人事は。会社全体を考えると、A君はBという部署に持ってったほうがいいと。だけど、A君の部長は「いや、うちからは出さないよ」って言ってくると。じゃあ、トップダウンで決めたらいいのか、でも、トップダウンでは社長は決めたくないと。どうしたらいいんでしょうか?

栃尾

これって、ご本人の意見聞かないんですかね。

安田

ぜんぜん聞いてませんね。

金子

ん、たしかに。

栃尾

ご本人の意見聞いたほうがいい気がするんですけどね。

安田

この方は「本人の適性と希望を鑑みて」と書いてありますけどね。

栃尾

あ~、そうかそうか。じゃあ、一応聞くわけですよね。

安田

いや、「聞いたほうがいいんじゃないの」っていうふうにこの方は思ってるんですよね。だけど、いまは……

栃尾

そうかそうか。聞いてないと。

安田

はい。そもそも、ジョブローテーション必要なんですか?ジョブローテーションっていうのは、ずっと仕事を入れ替えるってことですよね。

栃尾

そうですよね。部署を変えたり職種を変えたり。

金子

そんな、でも、簡単にいかないですよね、そもそも。

安田

そもそも?

栃尾

大企業は結構ありますよね。

金子

そうなんですか。

安田

あります。たとえば、地方とかいろんな拠点まわったりとか。

金子

あ、そういうことか。

安田

はい。業種によっては必ず人事部を経験しないと上に行けないとか、あるんですよ。それは総合職みたいな考え方があって、大きい会社は。トップに行くのに「この部署しか知りません」みたいなのだと全体がわからないじゃないですか。あとは、他の部署とのバランスとか力関係も考え、いろいろ経験しておくみたいな。

金子

なるほど!

安田

でも、「そんなぶつ切りで経験してても、いまの時代意味ないんじゃないの?」ってことを言ってるわけですね、この方は。ということで金子さん、お答えをズバリ。

金子

ジョブローテーションは私は必要じゃないのかなと思いまして。

安田

必要?

金子

じゃない。

栃尾

必要じゃないってこと?

金子

いらないかなと思いまして。

安田

はい。じゃあ、結論は「いりません」と。

金子

早い(笑)

栃尾

断ち切られた(笑)

金子

あと、人事もトップダウンでするべきかどうかっていうことについても、トップダウンでしないほうがいいんじゃないかと勝手に思ってますけど。

安田

すると、各部門が「俺は出したくない」とか「俺は欲しい」とか言ってきて、まとまらなくなりますよね。

金子

そうすると、「わかった」っつって引き下がってもらって、そこにいるべき人材なんだったら、そこにいてもらって、そこで活躍してもらって、別の行ける人が行くっていう。で、どうしても行けなくなるんだったら、本人と相談して「この時間だけやってくれ」とかっていう話をする。

安田

はい。

栃尾

安田さん、目くばせするのやめてください(笑)

安田

(笑)

金子

「おまえが行けよ」と、「栃尾、何か言ってやれ」と(笑)

安田

いや、すいません、ちょっと聞いててよくわかんなかった(笑)

金子

なんでや!(笑)

安田

まあ、でも、なんとなく。つまり、「本人の言うこともちゃんと聞いてやれ」ってことですよね。栃尾さんのおっしゃるように、金子さんもね。

金子

はい。

安田

僕も、でも、同じで、ジョブローテーションが素晴らしいかどうかとか、トップダウンがいいかどうかっていうより、そもそも会社員の仕事って会社が決めるもんでしたけど、そもそもそれが時代遅れなんじゃないかって気がしますけどね。

金子

うん。

栃尾

そうですね。

安田

だから、本人が「自分はこの仕事やりたい」っていうことでやるのが一番いいんじゃないですかね。で、その仕事が会社の中にないんだったら辞めていただければいいし、生かせるんだったらそれを生かせばいいしっていう。まず、だから、「この会社で一生働くっていうのありきで仕事を入れ替えるべきか、スペシャリティーを磨くべきか」みたいなのが、もう、それ自体が時代に合ってないかなって気が私はしますけれども。

栃尾

東京だと無理やり人事異動したりすると辞められちゃいそうですけど、地方だとそんなに転職ぽいぽいする印象がないので。

安田

それは転職先がそんなにないと。

栃尾

ないんじゃないかなと思います。希望に沿った。

安田

でも、たとえば「転職先ないから、会社の言うとおりジョブローテーションしとこう」ってやるとするじゃないですか。やったけど、ホント、この人の言うようにまったくスペシャリティーがつかず、それで会社が最後まで面倒見てくれりゃあいいんですけど、会社自体がなくなっちゃうこともある時代で、あるいはリストラにあうとか、もしくは、最後までいけたとしても60とか65じゃないですか。さらにそこから長いですよね、人生が。

栃尾

そうですね。それはたしかによくないと思います。私、ジョブローテーションのよいところって、偏りがちょっと減ることかなと思うんですよね。あと、スキルのシェアができたりとか。どこどこで効率よくやってるのに別の部署ではめちゃ効率悪くて、それを知ってる人が効率悪いところに行くと、そのスキルをシェアできるっていうか展開できる、みたいなよさがあると思うんですよね。それを、べつにジョブローテーションしなくても、横どうしのつながりを、「風通しよく」ってよく言いますけど、そういうふうにすると代わりになるんじゃないかなって思ったりしたんですけどね。

金子

なるほど!

安田

おぉ、素晴らしい。

栃尾

あと、他の部署が見られれば「あそこに行きたい」とかも出てくるかなって思って。そういう工夫のほうが効果的だし、いまっぽいなと思うんですけど。

金子

たしかに。

安田

そうですね。スペシャリティーを持ったスペシャリストしか、もう生き残れないだろうなと思ってまして、僕は。

栃尾

ああ、これからは?

安田

はい。何らかの、「自分じゃなきゃできない」っていう特殊能力がいると思うんですよ、全員に。ただ、それしかできないってなったとき、他の部署とまったく連携できないと話にならないですよね。

栃尾

そうですよね。

安田

だから仕事でも、たとえばコピーライターさんがデザイナーと仕事するときに、じゃあデザイン事務所で3年働くかっていったら、そういうわけじゃなくて。だから、連携できるかどうかっていうのは、その人の仕事のやり方とか価値観とかをお互い理解できるかどうかなんで。だから、栃尾さんのおっしゃるように、ローテーションするよりは、そこの連携の新しい方法を考えたほうがいいかなって気がしますね。ということで。

栃尾

ということで、「トップダウンでするんじゃなくて、個人の希望をとったほうがいい」っていうのはみなさん合意なんですかね(笑)

安田

僕は、そうじゃないとこの先やってけないと思いますけどね、企業も。

栃尾

じゃあ、「トップダウンでするべき?」っていうのは「トップダウンでするべきじゃないんじゃないか」ということと、「ジョブローテーションは必要か?」というと、「そうじゃなくて、別の方法がいいんじゃないでしょうか」っていう感じですかね。

金子

うん。分かりやすい。

安田

はい。ということで、本日は以上です。ありがとうございました。

栃尾

ありがとうございました。

金子

ありがとうございました。


*本ぺージは、2019年8月1日、ポッドキャスト「安田佳生のゲリラマーケティング」において配信された内容です。音声はこちらから


ポッドキャスト番組「安田佳生のゲリラマーケティング」は毎週水曜日配信中。

安田佳生
境目研究家

 

 

 

栃尾江美
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金子亜祐美
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