原因はいつも後付け 第5回「他の事業は儲かりそう」という誘惑

本来変えるべきは「何」なのか?

結局、悩みに悩んだ結果、私は他の事業に手を出すのを止めました。
手を出す寸前で思いとどまった理由。それは、

「本業と同じように他の事業にも競合がいる」と気づいたから。

自分にとっては未知の新規事業かも知れません。
ただ、その新規事業には、その事業を本業とする競合が待っている訳です。

自分の本業で競合に勝てないお店が、他の事業なら競合に勝てる根拠。
そんな根拠はどこにもないのです。

ましてや、ただでさえ小さな経営資源をさらに分散させたら、本来勝てるはずだった勝負も勝てなくなってしまいます。

「本業が苦しい」と言う現在の結果から、「他の事業は儲かる」と考えること。
これは、本業に起きている問題の原因を見つける手助けにはなりません。

むしろ、「本業が苦しい」と言う結果を生んでいる原因が分からないから、「事業自体が悪い」という原因にすり替えているとも言えます。

本業が苦しい時、考えなければいけないのは新規事業ではなく、本業の切り口。

そもそも訴求している強みは正しいのか?
訴求したい対象のお客さん想定は正しいのか?
お店の情報は正しくお客さんに届いているのか?

本業の切り口を見直すことで、お客さんがお店に来たくなる原因を作り出す。

競争が激しい状態はレッドオーシャンと呼ばれます。
それに対して、競争のない状態はブルーオーシャン。

どこか他の事業にブルーオーシャンが転がっている訳でありません。
本業を見直し、自分のお店ならではの切り口見つけることで、自分のお店にブルーオーシャンを作り出す。

本業が苦しい時、隣の芝生は青く見えてしまうだけなのです。

著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計28店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。

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