小さなブルーオーシャンに出会う旅 第8回「あるものに特化した結果、15年で上場するまでに至った企業」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

第8回「あるものに特化した結果、15年で上場するまでに至った企業」


「小さなブルーオーシャン」というと、ベンチャー企業や中小企業を思う人が多いと思います。確かに「小さなブルーオーシャン」とは、① 大企業が手を付けない(大企業にとって旨味がない)ビジネスを行なう、② 何十億、何百億という売上は獲得できない、たくさんの人たちには受け入れられないけれども、一部の人が「超」がつくほどのファンとなるビジネスを行なう、③ 何兆円もある市場規模の中(レッドオーシャン)で、市場拡大を狙って他社と戦うのではなく、自社の得意分野だけを磨きに磨いて、他社と戦わないビジネスを行ない続ける、の3パターンなのかな?と思います。今回、ご紹介する会社は、始めた頃は、そこまで需要があったようには思えません。最初は、「そんなのがビジネスになるの?」と思われていたのではないでしょうか。「小さなブルーオーシャン」戦略を取り続けた結果、それが市場に認められたのではないかな、と想像します。

音声合成に特化した、日本で唯一の会社

今回、紹介する「株式会社エーアイ」さんは、2003年に設立をし、2018年にマザーズに上場した会社です。何をしている会社か?「音声合成エンジン」を開発し、さまざまな分野で利用されている会社です。いまでこそ、さまざまなインフラが広がり、当たり前のように「音声」が使われています。ゲームやスマートフォンアプリなどを筆頭に、さまざまな日用品でも「声」が案内してくれます。冷蔵庫や洗濯機は喋ります(?)し、お風呂が沸けば「お風呂が沸きました」と教えてくれます。「カーナビ」が出始めた時、地図が表示されるだけでなく、「声」で案内された時、「これ、どうなっているんだ?」と不思議に思いました。今では、一方的な案内だけではなく、双方向での対話もできるようになっています。
「株式会社エーアイ」さんは、この「声、音声」に特化した日本で唯一の会社なのです。いまでこそ、さまざまな分野で使われていますし、「先見性」があったと言えば、そうかも知れません。しかし、「音声、声」をビジネスにすると始めた頃はどうだったでしょうか?今のようにインフラがない頃です。(コールセンターや案内など「声」を使う仕事は、人が行なうもの、だったと思うのです)あくまでも想像ですが、「音声、声なんて、どこで使うんだ?ビジネスになんかならないだろう」と思われたと思うのです。

小さなブルーオーシャンを生み出しているものは何なのか?

前述したとおり、先見性あったと言えば、その通りです。今のような時代になることを見越していたと思いますし、トレンド、時代の流れもあったことでしょう。しかし、根本的に「音声、声」に可能性を見出し、その一点のみで研究、開発していったからだと思います。現に、ホームページを見てみると、上場してはいるものの、「音声、声」の開発以外のビジネスを広げているようには思えません。さらに自分たちのことを「日本で唯一の会社」だと謳い、その点に誇りを持っているようにも見えます。少子高齢化やグローバル化、AIの普及等々、さまざまな分野で「音声合成」は使われていくでしょう。市場を拡大するというよりは、市場を深化させているビジネスのように思えます。

 


佐藤洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。
中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

 

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

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