スケッチ 第2回「3時間で人生は変わる」

安田: たとえば日本人だったら、ひらがなを書けない人はいませんよね?

戸谷: いませんね。

安田: 同じぐらいの確率で、ほぼ全員がちゃんと描けるようになるっていうことですか?

戸谷: 実際になってます。一定の領域までは四角と人さえ描ければ、どうにかなります。

安田: コミュニケーションに使えるぐらいになると。

戸谷: たとえば私の祖母は、ひらがなを読めるんですけど書けなかった。

安田: へぇ~。

戸谷: 昔は、そういうことって結構あったんですよ。それは書方を習ってなかったから。

安田: 習ってなくても、読めるのなら書けそうですけどね。

戸谷: そう思うでしょ?でも実際は書けないんですよ。習わないと。

安田: スケッチもそれと同じ?

戸谷: まったく同じです。ひらがなレベルで描けるようになります。

安田: 今まで何人くらい、描けるようになったんですか?

戸谷: 簡易的なセミナーまで入れれば1,000人くらい教えましたけど、描けない人はいなかったです。

安田: それは凄い。

戸谷: もちろん一定のレベルまでですよ。何でも描けるようになるかと言ったら、それは無理です。

安田: どのくらいのレベルになるんですか?

戸谷: 四角と丸と人を描いて、色をつけて、ちゃんと説明できるぐらいのレベルにはなります。

安田: 言いたいことが伝わる程度には、描けるようになると?

戸谷: なります。

安田: そのレベルに到達するには、どのぐらいの期間が必要なんですか?

戸谷: 住宅会社さん向けの研修は、助成金の関係もあって20時間にしています。

安田: ということは普通の人は、人生で20時間も絵を描いてないってことですか?

戸谷: 正しく習って描いてない、ということですね。

安田: なるほど。

戸谷: たとえばゴルフのクラブを渡して、20時間テキトーに素振りしたからって、上手くならないじゃないですか。

安田: 確かに。でもそういう人が、ほとんどですけどね。

戸谷: レッスンプロに20時間、7番アイアンを習うことをイメージしてみてください。

安田: かなり上手くなりそうですよね。

戸谷: スケッチに関しては、3時間もあればかなり上達します。

安田: 3時間やれば「描けない」と思ってた人が、「自分は描ける」ぐらいになれますか?

戸谷: 人と箱でシーンが描ける、人を2人描けばコミュニケーションの様子も描ける。そのくらいには、なりますね。

安田: へぇ~。ちょっと、やってみたくなりますね。

戸谷: 1日あれば、人物やシーンはかなり描けるようになります。難しいのは、頭の中にあるものを紙に描くという行為。

安田: 頭の中にあるものを、スケッチするってことですか。

戸谷: そう。たとえば「うちの会社に入ったら、こういうスキルアップができて、将来こうなれます」みたいなスケッチ。

安田: それを絵にするには、結構時間がかかる?

戸谷: はい。そこまで行くには、やっぱり10〜20時間かかりますね。

安田: そこまで行けば商談で「うちの商品を使ったときに、現場でこういうことが起こる」っていうのを、ちょっとした絵にしてあげられる?

戸谷: はい。一枚の絵にできるようになります。

安田: それは、かなりのアドバンテージですね。

戸谷: お客さんとの会話も盛り上がりますし、ホワイトボードの前に立つのも怖くなくなる。

安田: みんなの前で説明するのは、緊張しますもんね。

戸谷: 丸と四角と人が描ければ、どっと盛り上がります。

 

>>>次回は、文字にはない絵のインパクト

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