チューニング力

ラジオを聴くために
電波の周波数を合わせるような作業。
あるいは金庫を開けるために
ダイヤル錠を合わせるような作業。
つまみを捻って右に回したり、左に回したり。

おそらくこの辺りだという領域を絞り込み、
ほんの少しの微調整を繰り返して、
ピタリと合う場所を探し出す。
するとスピーカーの雑音が完璧な音声に変わる。
閉ざされた重い鉄の扉が嘘のように軽く開く。

ほんの少しズレただけで音は聞こえなくなり、
扉はピクリとも動かなくなる。
私はこれをチューニング力と呼んでいる。
チューニングとは「調律する」「同調する」
という意味の音楽用語である。

機械や器具を「調整」するときにも
チューニングという言葉を使う。
調律もしくは微調整。
それがチューニング力の本質である。

儲かる会社と儲からない会社。
成功する人と失敗する人。
売れる商品と売れない商品。
その決定的な違いは何か。
運ではなく実力で結果を出す人がやり続けていること。
それこそがチューニングなのである。

たまたま儲かる。
たまたま成功する。
たまたま売れる。
ということがビジネスや人生には起こる。
それは確率の問題で宝くじに当たる人と同じである。
だが運は長続きしない。

売れ続け、儲かり続けるためには、
チューニングが不可欠なのだ。
どこに居ても、どんな状況でも、何屋をやっていても、
やるべきことは同じ。

まずは仕組みを把握すること。
ラジオでいうところの周波数を調整するツマミ。
金庫でいうところのダイヤル錠。
それがどこにあるのかを見極める。
そして動かしてみる。

五感を研ぎ澄ませてダイヤルを動かす。
音を聞き、感触を確かめ、おおよそのあたりをつける。
ここまでは難しくない。
問題はこの先なのだ。

ほんの少しの微調整。
それを繰り返す。
とことん繰り返す。
気が遠くなるほど繰り返す。
「ここだ」という場所に行き着くまで。

どんな商品も、どんな商売も、基本は同じである。
喫茶店の経営も、Tシャツの販売も、
ユーチューバーも、やるべきことは同じ。
どうやったら売れるのか。
どうやったら流行るのか。
それを考え微調整し続けること。

それは永遠に続く作業だ。
なぜなら周波数は変わり続けるから。
昨日売れたものが今日も売れるとは限らない。
いま人気のある芸人がずっと人気者であるわけではない。
社会は常に変化している。
売れ続ける人とは微調整し続ける人なのだ。
決して調整ツマミを手から放してはならない。

 


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どうすれば企業は生き残っていけるのでしょうか。私は今後、中小企業の経営は二極化していくと予想しています。それは「人を雇い続ける経営」「人を雇わない経営」です。

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